1999年度(コメントは講演者に書いていただいています)
*3月17日(講演会)
Hans P. Schlickewei
Intersections of varieties with linear tori
◎2月 4日
加川 貴章(立命館大)
題名:Nonexistence of elliptic curves having everywhere
good reduction and cubic discriminant
Abstarct:
pをp≠3, p≡3 (mod 4)なる素数とし、k=Q(\sqrt{3p})とする。
この時、次のことを証明する:
k上everywhere good reductionを持ち、しかも判別式が3乗数
であるような楕円曲線が存在するのはp=11の時のみである。
判別式が3乗数ではない場合についても(時間があれば)触れ
る予定。
◎1月 21日
佐野 友紀(津田塾大)
題名:On purely periodic beta-expansions of Pisot numbers
Abstarct:
We characterize numbers having purely periodic $\beta$-
expansions where $\beta$ is a Pisot number satisfying the
polynomial $Irr(\beta)=x^d - k_1 x^{d-1} - k_2 x^{d-2} -
\dots -k_{d-1} x -1,~ k_i \in \mathbb{Z},$ and $k_1 \geq
k_2 \geq \dots \geq k_{d-1} \geq 1.$
The main tool of the proof is to construct a natural
extension on a $d$-dimensional domain with a fractal
boundary.
◎1月 14日
相羽 明(茨城大)
題名:Lubin-Tate分体のassociated orderについて
Abstract:
Kをp進体の有限次拡大、KnをLubin-Tate形式群に関するKのn次
分体とする。Kの分岐指数が十分大きい時のKn/K1のassociated
orderの計算方法と計算例を紹介する。(N. P. Byottのnが3の
時の結果(1997)の拡張)
◎12月 17日
寺井 伸浩(足利工大)
題名:足立の定理のある指数型不定方程式への応用
Abstract:
Fremat's Last Theorem と関係する不定方程式 x^2 \pm l y^2=z^l
(l:odd prime)に関する 足立の定理(Tokyo J. Math. 11(1988))を
用いて、ある仮定の下で不定方程式 x^2 \pm l^N=z^l (N:奇数 >1)
が整数解を持たないことを示す。この結果と2次体、Baker理論を
用いて、いくつかの条件の下で指数型不定方程式 a^x+b^y=c^z,
x^2+D^m=p^n の整数解の上界を求めたり、整数解を決定する。
◎12月 10日
小松 啓一(早大 理工)
題名:$\lambda$-invariants of ${\bf Z}_p$-extension of
cyclic extensions of degree $p$
(Q上p次巡回拡大体における、Greenberg予想に関する市村-隅田の判定法
の類似の定理について話されました)
◎11月 26日
金子 高康(東京電機大学 理工学研究科)
題名 : 与えられたtorsion structureをもつランク2の楕円曲
線
abstract :
torsion structure として、Z/2Z、Z/2Z*Z/2Z、Z/3Z、Z/4Zを
もつような rank 2以上の楕円曲線をtwistを用いて構成する方
法を述べる。
◎11月 19日
市原 由美子(名大多元数理)
題名:On Riez mean for the coefficints of the twisted
Rankin-Selberg series
abstract:
Rankin は modular form の Fourier 係数の絶対値の2乗の
和の挙動を調べた。Rankin は Rankin-Selberg L関数の解析
的性質を調べ、Landauの定理を利用して結果を得たが、実は、
この問題に関しては、この和を「Rankin-Selberg L関数の係
数和の Riesz mean」という形で一般化し、それを具体的に
Vorono{\"\i} formula で記述し、それを調べることで
asymptotic formulaを求めるという方法もある。この方法は、
具体的に Vorono{\"\i} formula で表すので、レベルに関す
る評価をすることも可能であるという利点がある。
また一方、Ivi{\'c}-Matsumoto-Tanigawa によって、その
truncated Vorono{\"\i} formula や Meurman type の
Vorono{\"\i} formulaを用いて Rankin の求めた asymptotic
formula の error term に関する mean value が調べられ、
そこから、挙動を調べるというアプローチがされた。
今回は指標付きの Rankin-Selberg L 関数の Riesz meanの
Voronoi formula から、Ivi{\'c}-Matsumoto-Tanigawa によ
る方法と、Landau-Walfisz による方法とを組み合わせ、
modulusに関して調べた結果を話したい。また、Vorono{\"\i}
formula には指標が付いた場合とそうでない場合には色々と
違いがあるので、その点も話せたらと思う。
◎10月 29日
坂田 裕(早大学院)
題名:Rankin型L関数の特殊値を用いて表されるJacobi形式の
構成写像とその性質
abstract:
Jacobi形式の具体的な構成については、現在様々な方法が知ら
れている。そのうち、ここでは比較的大きな指数や重さを持つ
Jacobi cusp形式を、Rankin型L関数の特殊値を用いて構成する。
その主な内容は(作りたい重さや指数を持つ)Jacobi cusp形
式から(大きな重さや指数を持つ)Jacobi cusp形式への写像
を、Jacobi-Eisenstein級数との積を用いて定義し、その
Petersson内積に関するAdjoint作用素を構成する。
この様にして構成したJacobi形式のFourier係数は、(重さや
指数の条件に応じて)3通りの方法で、それぞれRankin型L関数
の特殊値を用いて表されることが分かったのでそれについて報
告したい。また、この作用素の、(1変数)保型形式の性質か
ら導かれる性質についても言及したい。
◎10月 15日
尾崎 学(島根大学)
題名:総実代数体の相対$p$-拡大の岩澤$\lambda_p$-不変量に
ついて
abstract:
$p$ を素数、$k$ を $\lambda_p(k)=\mu_p(k)=0$ なる総実代
数体とする。このとき任意の総実$p$-拡大 $k'/k$ に対して
$\lambda_p(k')=\mu_p(k')=0$となるか?」という問題が
Greenberg予想と関連してある。
この問題へのアプローチの一歩として、ある種の条件をみたす
$k$に対し、$\lambda_p(k')=\mu_p(k')=0$となる$p$-拡大
$k'/k$を無数に構成する。またこの構成のテクニックの副産物
として、ある単項化問題への応用があるのでそれについても触
れる予定。
◎10月 8日
都地 崇恵(東京大学)
題名:円分Z_p拡大における円単数とStickelberger元について
abstract:
円分Z_p拡大における円単数とStickelberger元はともに
久保田-Leopoldtのp進L関数を構成することが知られている.
今回はその両者の関係を具体的に記述した.
◎9月 24日
山形 周二 (東京電機大学)
題名:Senのexplicit formula
abstract:
局所数体に対して、Sen(1980)が絶対ガロア群の指標のある不変量を定義
し、それを用いてヒルベルト記号のexplicit formulaを与えている。さらに、
Destrempes(1995)はLubin-Tate拡大を考え、一般化したヒルベルト記号の
explicit formulaを与えている。これらについて紹介します。
◎9月 17日
梅垣 敦紀(早大理工)
題名:主偏極2次元abel多様体のmoduli空間における有理的
CM-点の決定
abstract:
A_1 を複素数体上の楕円曲線のmoduli空間とする.
虚2次体の整数環に虚数乗法(CM)をもつような A_1 の Q-有理
点は丁度9個存在することは良く知られている.
今回, 複素数体上の主偏極2次元abel多様体のmoduli空間 A_2
において, 4次CM体の整数環にCMをもつような Q-有理点を全て
決定することができたので, それを報告する.
◎7月 9日:鍬田政人(Caen大学)
楕円曲線の三次巡回拡大体上で定義された点と、広義クンマー
曲面の有理点との関係について。
abstract:
体K上で定義された楕円曲線Eに何らかの3次巡回拡大体L上で定義された点が
あると、それは、E×Eをある位数3の自己同型で割ったものからできる広義ク
ンマー曲面の有理点と対応がつく。この広義クンマー曲面には楕円曲面の構造が
はいることがわかり、これを使って例えば次のことが証明できる。もしEに3次
巡回拡大体L上で定義された点で位数無限のものが1つでもあるとすると、無限
個の異なる3次巡回拡大体L_λがあって、Eはそれぞれの体L_λ上で定義され
た無限位数の点をもつ。
◎6月25日 山本 現(早大・理工)
「素数導手をもつ3次巡回拡大の岩澤λ_3不変量について」
(島根大学尾崎学氏との共同研究)
Abstract:
素数導手をもつある3次巡回体 k ついて、我々は3月の早稲田
数論シンポジウムで原始根およびベルヌーイ数を用いて岩澤不
変量λ_3(k)=0 となる十分条件を与えた。今回はこの結果を改
良し、ベルヌーイ数の条件よりも弱い、ある岩澤冪級数の既約
性を用いた十分条件を与える。
この結果から、いくつかのkに対してλ_3(k)=0 であることが
新たに判定することができた。5月28日の整数論セミナーで
同じテーマで話された福田氏が判定した例との関係についても
触れてみたい。
◎6月 18日 Audrey Terras (Univ. California, San Diego)
「Selberg's Trace Formula and its Discrete Analogues」
Abstract:
We will compare 3 different versions of the trace formula.
I. Review of Selberg's original trace formula and zeta
function for compact Riemann surfaces.
II. An analogue for the finite group GL(2,F), where F is
a finite field.
III. An analogue for finite graphs and Ihara's zeta function.
◎6月 11日 志村 真帆呂(早稲田大学)
"Modularities of QM-abelian surfaces"
(百瀬 文之氏(中央大学)との共同研究)
QM-abelian surface(Q-上の不定符合四元数体Dの整環と同型な
自己準同型環を持つアーベル曲面)のModularityの判定法につ
いて。
主にDの判別式を割る素数に関する判定法について話す。
◎6月 4日 青木 美穂(東京都立大・理)
「Gauss和を用いた岩澤主予想の別証明」
abstract:
一般のアーベル体に対する岩澤主予想(Iwasawa Main
Conjecture)の証明は Mazur-Wiles の保型形式を用いたものと
Rubin, Greither の円単数を用いたものが知られている。今回
は、ある条件を満たすアーベル体 に対し、その別証明を
Gauss和 の Euler系 を用いて与える。
今回の証明は、プラスパートを扱う円単数を用いた場合と異な
り、イデアル類群のマイナスパートを直接扱って証明を与える。
◎5月 28日 福田 隆(日大・生産工)
「ある3次巡回体の岩澤λ_3 不変量」
(早稲田大学小松啓一氏との共同研究)
abstract:
3月の早稲田数論研究集会において、尾崎・山本氏は素数導
手をもつ3次巡回体 k の Z_3 拡大に対し、原始根およびベ
ルヌイ数を用いて A_1=D_1 となる条件を与え、これを用い
て λ_3=0 となる k の例を示した。我々は A_1=D_1 となら
ない k のうちのいくつかに対し、k_2 の円単数を利用して
D_2 の位数を決定し、λ_3=0 となることを示すことができた。
円単数がどのように使われたのかを中心に紹介したい。
◎5月21日 長谷川雄之(早稲田大学)
「Trigonal modular curves $ X_0^{+d}(N) $」
以前にモジュラー曲線 $ X_0(N) $ で trigonal (射影直線の 3 次被覆)
となるものを決定したが、今回は Atkin-Lehner 対合 $ W_d $ で
割った曲線 $ X_0^{+d}(N):=X_0(N)/ $ の場合について話す。
余裕があれば、関連する話題として M.Baker 氏の最近の結果
($ Jac(X_0(N))^{tors} $ に関する Coleman-Kaskel-Ribet 予想の証明)
にも触れてみたい。
◎ 5月14日:Alice Silverberg (Ohio State Univ.)
"Ranks of elliptic curves in families of quadratic twists"
◎5月 7日 小松 亨(都立大)
「Infinite families of quadratic fields ${\Bbb
Q}(\sqrt{D})$ and ${\Bbb Q}(\sqrt{-D})$ whose class
numbers are both divisible by 3」
abstract:
K_D を 2 次体 {\Bbb Q}(\sqrt{D}) とする. K_D 及び K_{-D}
の類数が ともに 3 で割れるという2 次体 K_D のなす族を S
とする.
今回は この族 S のある部分族 T を具体的に構成する.
さらに この族 T が無限族であることを示すことにより族 S
が無限族であることを示す.
◎4月 23日 橋本 喜一朗(早稲田大・理工)
「Family of genus 2 curves with jacobian of fake GL2-type」
abstract:
j をパラメータとするとき, これを不変量とする Q(j) 上の
楕円曲線の族として Tate の family がある. 昨年春の研究集会
で Tate の楕円曲線族の 2 重被覆をなす種数 2 の曲線族
C(j)/Q(j) の構成と, その中にjacobian が志村のアーベル
曲面と同種なものが見つかったことについて話しましたが,
今回はその続きです. 内容は
1) C(j) の jacobian の Q(j) 上の自己準同型環,
2) C(j) の定義方程式が, S4 をGalois 群にもつ既約6次式の
1パラメータ族を与えること,
3) Tate の楕円曲線族の Twists で rank が正のものが構成できること,
等です.
◎4月 16日 久保寺 範和(早稲田大・理工)
「ある非可換l-拡大のZ_l拡大の岩澤不変量について」
総実代数体の円分的Z_l拡大の岩澤\lambda、\mu不変量は0であ
るというグリーンバーグ予想があるが、これは一般的には非常
に難しい。今回、奇素数lに対して、あるQ上の非可換l-拡大の
円分的Z_l拡大に関する岩澤不変量が0となるような例を構成す
る。
◎4月 9日 宮永 望(早稲田大・理工)
「On Z_p-extensions in which every ramified prime ideal
is totally ramified」
修士論文で考えたこと(タイトルのような Z_p-extension
(ramifyするprime idealの個数がg)のn-th layerの
ideal class groupのp-Sylow subgroupをA_nとする。
このとき、いかなる「条件」が満たされれば、
(*) 任意のnに対して、A_nと(Z/p^n Z)^(g-1)が同型
となるか?)について発表させていただきます。
(「条件」が強いので、(*)となるような新しい具体例は
まだ見つけられずにいますが、)具体例についても簡単にふ
れる予定です。