2000年度(コメントは講演者に書いていただいています)
◎2001年 3月16日 (金) 「春の特別版」
- 八森 祥隆 (東京大学)
題目:On the μ-invariants in Iwasawa theory of elliptic curves
- Fisher (Cambridge Univ.)
題目:Cassels-Tate pairing and the icosahedron
- J.C. Lario (Univ. Politecnica de Cataluniya)
題目:Some computations with Hecke rings and deformation rings
2001年早稲田整数論シンポジウム
◎2001年 1月 26日 (金)
中井 大輔 (大阪大学)
題目:不定符号二次形式に対する Siegel formula の具体形
アブストラクト:
Siegel formula とは,標語的に言えば
「テータ級数の平均 = アイゼンシュタイン級数」
という関係式が成り立つことと言える.
このような関係式は Siegel によって導入され,
以降 Weil などによる一般化や,Jacobi form についても
成立することが知られている.
今回の講演では,不定符号二次形式の場合に
右辺に現れるアイゼンシュタイン級数を,
よく知られた(具体的な)アイゼンシュタイン級数を用いて
線形結合の形で書き直すことを目的とする.
◎2001年 1月 19 (金)
長谷川 雄之(早稲田大学理工)
題目:モジュラー曲線の自己同型群
アブストラクト:
$ X_0(N) $ をモジュラー群 $ \Gamma_0(N) $ に付随するスタ
ンダードなモジュラー曲線とする。
$ X_0^*(N) $ を,$ X_0(N) $ の Atkin-Lehner 対合全部の
なす群による商曲線とする。
$ X_0^*(N) $ は自然に有理数体上の構造をもち,かつ,その有
理点決定問題はある種の楕円曲線のクラスを決定することと本質
的に同値であることが知られており,その数論幾何的性質を明ら
かにすることが現在望まれている。
今回の講演は N が素数で種数が 3 以上の場合に $ X_0^*(N) $
の自己同型群が自明になることを示す。
小松 啓一(早稲田大学理工)
題目:Siegel modular function の特殊値と Kronecker の極限公式
abstract:
\bf Q(exp(2\pi i/5))の mod 6 の ray class field の中に
Siegel modular function の特殊値として単数を構成し、
Kronecker の極限公式との関係について触れる。
◎12月 15日 (金)
中里 肇(東京高専)
題目:楕円曲線のtorsionについて
abstract:
虚数乗法を持たない楕円曲線 E/Q,E'/Q と
素数 p に対して、E'のすべての pべき分点の座標を
有理数体 Q に添加した体を Lとする。E(L)のtorsion
部分が E(Q)のtorsion部分と一致するための
E,E',p の十分条件を与える。 特に、
条件を満たす E,E'に対して、このような p は
無限個存在する。
◎12月 8日(金)
講演者:堀江 太郎(鈴鹿高専)
題目 :weight 1/2 の志村対応--Dedekind eta 関数の一般化について
abstract: (より詳細な講演概要はこちら (ps))
半整数 weight の保型形式から整数 weight の保型形式への対応(いわゆる志村対応)を与える
などの半整数 weight の保型形式を最初に組織的に考察した論文 [Shimura]
では、weight 1/2 の保型形式上の志村対応については触れられていない。
その後,weight 1/2 の正則保型形式の空間は、 Dirichlet 指標で twist した theta 級数
で張られることが [Serre-Stark] で示された。この theta 級数を用いることにより,
無限積を用いてDedekind eta 関数に類似したある関数族を定義することが
出来る。本講演では,Dirichlet 指標が2次指標であるとき、この関数達が
Dedekind eta 関数と同様に良い性質を持っていることを見つけたので報告したい。
即ち,これら関数族は
1)Siegel 関数(Weierstrass の sigma 関数)で表示できる
ため,それから保型性を導くこともできる
2)ある種のKronecker の極限公式にも現れる
3)その変換法則の対数にはDedekind 和 の類似が現れる(この現象は未だ良
く分っておらず,解明が待たれている)
などの性質を持つ。
証明のアイディアは、Borcherd 型のlifting [Borcherds, Th.14.1] の一つの version として、
着想された。
参考文献.
[Borcherds] Automorphic forms on $O_{s+2,2}({\bf R})$ and infinite products,
Invent. Math. 120 (1995), p.161-210
[Serre-Stark] Modular forms of weight 1/2, Lecture Note in Math. 627,
Modular forms of one variable, p.29-67
[Shimura] G. Shimura,Modular forms of half integral weight,
Ann of Math. 97 (1973), pp.440-481
[Horie-Kanou] Certain modular functions similar to the Dedekind eta function,
preprint
◎12月 1日 (金)
谷戸 光昭 (中央大学大学院 理工学研究科)
題目:加法群から乗法群への変形群スキームの加法群による拡大について
abstract:
素数$ p $を固定し、$ A $を$ \mathbb{Z}_{(p)} $-代数とする。
また、$ A $上での加法群から乗法群への変形群スキームを、
ここでは$ G $と書くことにする。
$ G $から加法群への$ A $-準同型全体、および$ G $の加法群に
よる拡大の同型類全体がともに群をなすことはよく知られている。
今回、両者の群構造を決定付けることができたので、その結果に
ついて報告したい。(それぞれが$ A^{\mathbb{N}} $のある自己
準同型写像の核と余核に同型になるという結果を得た。)
また、$ G $の乗法群による拡大については [関口-諏訪, 1999] の
結果があるが、それとの関連についても触れる予定である。
◎11月 17日 (金)
中野 伸(学習院大)、佐瀬 雅彦(学習院大)
題目: Construction of metacyclic extensions
abstract:
$p$ を奇素数とし $k$ を標数が $p$ でない体とする。
$k$ 上の $r$ 次巡回拡大(ただし $r$ は $p-1$ の約数)が与えられたとき、
その $p$ 次巡回拡大体で $k$ 上 Galois であるようなものを Kummer 拡大
のことばを使って分類する。
この結果の応用として、$k$ 上の Frobenius 拡大を具体的に書き下す方法を
提示する。
◎11月 10日 (金)
講演者 : 今井 泰文(上智大学)
題名 : Aurifeuillian factor について
アブストラクト :
$n(>1)$を平方因子をもたない整数、$n^'$を、$n$: if $n=1 mod4$,$2n$:
if $n=2,3 mod4$ とするとき、
$\Phi_{n'}(x)={P_n}^2(x)-nx{Q_n}^2(x)$なる整数係数多項式
$P_n(x),Q_n(x)$が存在する($P_n$,$Q_n$は、最高次の係数が正のものをとる)
という定理を証明し、この$P_n$,$Q_n$に対し、
$\Phi_n^{\pm}(x)=P_n(x){\pm}\sqrt{nx}Q_n(x)$ (複号同順)
とおく。$t$を正の奇数、$m$を整数とすると、$\Phi_{n'}({m^2}n)$は整数に
なることを用いると、
$k(>0)$を、$(k,n)=1$なる奇数のとき、
$\Phi_{n'}^{\pm}(({m^2}n)^t)$ は
$\Phi_{n'}^{\pm(n|k)}(({m^2}n)^{kt})$ を、整数の中でわりきる
という主結果が得られます。
また、主結果を用いて、計算例もとりあげる予定です。
◎10月 27日 (金)
講演者 : V. Nguyen Khac (中央大学客員研究員、Hanoi Institute of Mathematics)
題名 : "Drindfel'd modules and Drinfel'd modular
curves: an informal overview"
レジュメ: We give an introductory exposition of the
theory with some new insight
◎10月 20日 (金)
講演者:尾崎 学(島根大学総合理工学部)
題名:与えられた構造の有限岩澤加群を持つZ_p-拡大の構成
アブストラクト:
Γを Z_p と同型な位相群、X を任意の与えられた有限 pro-p Γ-加群とするとき、
Z_p-拡大 K/k で、その岩澤加群が X とΓ-加群として同型 (Gal(K/k)とΓを適当に
同一視して) となるものが存在することを示す。
また、この構成の単項化問題への応用として、
「任意の有限アーベル p-群 A に対して、次の性質を持つ代数体 F が存在する:
Fのイデアル類群の p-Sylow 部分群は A と同型で、F のある不分岐 p^e-次巡回拡大
(p^e=Aのexponent)で F のイデアル類群の p-Sylow 部分群が単項化する。」
という事実も示される。
◎10月 13日
講演者:水沢 靖(早稲田大学理工学部)
題名:岩澤不変量λ=0で類体塔が無限に伸びる実二次体について
内容:素数$p$に対し、実アーベル体の円分$\mathbb Z_p$-拡大 $K$ で、
あるレイヤーの$p$-類体塔が無限に伸びているものを考える。
この時、$K$ の最大不分岐$p$-拡大も $K$ 上無限次であるが、
特に $K$ の岩澤$\lambda_p$不変量が 0 ならば、最大不分岐
アーベル$p$-拡大は $K$ 上有限次になる。
そのような実アーベル体の例として、
無限次$3$-類体塔を持つ実二次体 $\mathbb Q(\sqrt{39345017})$
の岩澤$\lambda_3$不変量が 0 であることを、市村-隅田の判定法
を用いて示します。
◎10月 6日(金)
Reinhard Schertz 氏 (アオグスブルク大学)
第一講演 (13:30--15:00)
題目: Problems of Construction in Complex Multiplication
abstract
----------ここから-------------------
%%% for amslatex %%%
\documentstyle[amssymb]{article}
\pagestyle{empty}
\topmargin -20mm \oddsidemargin -2mm \textwidth 150mm
\begin{document} \large \rightline{2000. 9.28 (Donn)}\par
各位
\begin{tabular}{cl}
題 目 & Problems of Construction in Complex Multiplication \vspace{2mm}\\
要 旨 & \vspace{-4mm}\\
& \begin{minipage}{11cm}
\baselineskip=6mm
{Let ${\Bbb Q}_f$ be the $f$-th cyclotomic field and
${\cal O}_f$ its ring of integers. Then it is well known that
$$
{\cal O}_f = {\Bbb Z}[\zeta], \ \zeta = e^{\frac{2\pi i}{f}}.
$$
This means that ${\cal O}_f$ can be described by torsion points
of the unit circle $x^2 + y^2 = 1$.
\par
Now let $K = {\Bbb Q}(\sqrt d)$, $d < 0$, be a quadratic
imaginary number field and $H$ its Hilbert class field.
For an integral ideal ${\frak f}$ in $K$ we consider
the ray class field $K_{\frak f}$ of $K$.
From complex multiplication we know that $K_{\frak f}$
can be constructed over $H$ by torsion points of elliptic curves.
\par
It is the aim of this talk to show that in analogy to
the cyclotomic case the ring of integers of $K_{\frak f}$ has
an integral basis over the ring of integers of $H$ which is
constructed from torsion points of an elliptic curve.
In almost all cases the basis obtained in this way is
a power basis.}
\end{minipage} \vspace{2mm}\\
\end{tabular}
\end{document}
----------ここまで-------------------
第二講演 (15:30--17:00)
題名:Galois Module Structure in Complex Multiplication
abstract
----------ここから-------------------
%%%for latex2e%%%
\documentclass[12pt]{article}
\usepackage{amsmath,amssymb,amscd,amsfonts,latexsym}
\begin{document}
Galois Module Structure in Complex Multiplication
Let N/M be a normal extension of number fields with
an abelian Galois group G. Then it is well known that
there exists normal integral basis
\[ N=\sum_{\sigma\in G}M{\theta}^{\sigma}= \theta\circ M[G],\]
where the action of M[G] on N is given by
\[ \theta\circ (\sum_{\sigma\in G}a_{\sigma}\sigma)
:=\sum_{\sigma\in G}a_{\sigma}{\theta}^{\sigma}.\]
Now let $\mathfrak{D}_N$ be the ring of integers in N and
\[ \mathfrak{A}_{N/M} :=\{\gamma\in M[G] | \mathfrak{D}_N\circ
\gamma \subseteq \mathfrak{D}_N \}\]
the associated Order of $\mathfrak{D}_N$ in M[G]. Then the
integral version of the above theorem would be
\[\mathfrak{D}_N = \vartheta \circ \mathfrak{A}_{N/M}\]
for some $\vartheta \in \mathfrak{D}_N$.
For the extension $\bold{Q}(\zeta_f)/\bold{Q},
\zeta_f=exp(2\pi i / f)$ such an element $\vartheta$ has been
constructed by Leopoldt. But in general the existence of
$\vartheta$ is not at all obvious.
In complex multiplication we consider extensions of the type
$K_{\mathfrak{f}}/K_{\mathfrak{g}}, \mathfrak{g} | \mathfrak{f}$,
where $K_{\mathfrak{f}}$ and $K_{\mathfrak{g}}$ are ray class
fields of conductor $\mathfrak{g}$, $\mathfrak{f}$ over a
quadratic imaginary number field. Using a resolvent formula
from the theory of elliptic functions it is possible to give
a positive answer to a slightly modified question. Especially
it can be shown that an element $\vartheta$ with the above
property exists for the extensions
\[K_{{\mathfrak{p}}^{r+m}}/K_{{\mathfrak{p}}^r}, 1\leq m \leq r,\]
where $\mathfrak{p}$ is an odd prime ideal in K.
\end{document}
◎9月 22日
講演者:相羽 明(茨城大)
題名:岩澤不変量が0となる有限体上一変数有理関数体の
アーベルp拡大
アブストラクト:
まず最初に有限体上一変数代数関数体での岩澤理論の
簡単な復習をした後に、山本現氏が本セミナーで前回
講演したことの類似について話す。
◎7月 7日
講演者:大西 良博(岩手大学)
題名:Frobenius-Stickelberger の公式および
函数 $\psi_n(u)$ の行列表示 (Kiepert の公式) の種数2への一般化
アブストラクト:
楕円函数についての Frobenius-Stickelberger の公式,すなはち
$\frac{\sigma(u_0+u_1+\cdots+u_n)\prod_{i<j}\sigma(u_i-u_j)}
{\sigma(u_0)^{n+1}\cdots\sigma(u_n)^{n+1}}$
を Weierstrass の $\wp$ 函数による行列式として表す公式
(例へば Whittaker-Watson, A Coruse of Modern Analysis,
p.458, Exercise 21 参照)および
函数 $\psi_n(u)=\sigma(nu)/\sigma(u)^{n^2}$ を行列式で表す公式
(Whittaker-Watson, p.460, Exercise 33)の2つを種数2の場合へ
一般化できたので報告いたします。
◎6月 30日
講演者:角皆 宏(上智大学)
題目:Dessins d'enfants 入門
内容:
Belyi の定理により、数体上定義される代数曲線 X は
P^1 の 0,1,∞ の外不分岐な被覆 β: X → P^1 として実現できるが、
このような (X,β) の組(Belyi 対)は、
位相的 Riemann 面(有向閉曲面)Σに埋込まれた二部グラフ D の組
(Σ,D) によって決まる。これを dessin d'enfant (子供の絵)という。
dessin は組合せ的対象であるが、上の対応により、その全体に自然に
Q の絶対 Galois 群 G_Q が作用するなど、魅惑的な対象である。
今回は、dessin の全体への Galois 群の作用やその軌道について、
dessin から被覆の方程式や定義体を求めること、等、
LMS 200,242,243 などにある話題から適宜選んで採り上げ、
dessin に馴染みの少ない人を念頭に、例も多く交えて紹介する予定。
(注)最近の結果も含むが、発表者自身の結果は含まない。
◎6月 23日
speaker:
伊藤 剛司(早稲田大学理工)
title:
「新谷-Starkの単数と円分的Z_p拡大におけるイデアル類群について」
abstruct:
数年前、尾崎氏は実アーベル体の円分的Z_p拡大において、
イデアル類群のp-Sylow部分群と(全単数群)/(円単数群)
のp-Sylow部分群がlayerを十分に上げるとGalois加群として
同型になる事を(いくつかの条件の下で)示された。
さて、実二次体上のある種のアーベル拡大の単数が二重ガンマ
関数の特殊値で得られるであろう、という新谷-Starkの予想が
あるが(新谷先生はこの予想をある条件の下に解かれている)、
この新谷-Starkの単数を用いて上の尾崎氏の結果の類似が
(かなり厳しい条件の下で)示されたので、これについて
紹介する。
証明は、荒川先生の示された類数公式と、中川先生の示された
円分的Z_p拡大における新谷-Stark単数の持つ性質を本質的に
用いる。
◎6月 16日
講演者:木田雅成 (電気通信大学)
題名: 楕円曲線の等分点の体での分岐について
内容:
l を素数としたとき、代数体に楕円曲線の l 等分点を添加した体の分岐につ
いてはなします。p を l と異なる素数とするとき、考えている楕円曲線が p
で good redcution を持てばこの拡大で p は不分岐であることが知られてい
ますが、p で bad reduction のときもある程度記述が可能であるという事が
話の中心です。いくつかの応用についてもはなす予定です。
◎6月 9日
講演者:伊吹山知義(大阪大学大学院理学研究科数学教室)
題名: Modular forms of rational weights and modular varieties
(アブストラクト)
1変数の分数ウェイトの保型形式というのは
ウェイトが1より小さいときは一般には次元公式もしられていないし、
半整数以外では具体的な関数もほとんど知られていなかった。
これを、レベルが奇数の一般の主合同部分群に対して、
ある程度統一的に大量生産する。
その応用として、レベルが小さいときにモジュラー多様体の方程式を記述し
(Klein の古典理論のリニューアル)、分数ウェイトまでこめた
保型形式環の構造も決定する。
また多重被覆群を用いて、 unitary reflection group の実現に応用する。
◎6月 2日
講演者:山本 現(早稲田大学理工学部)
題名: λ=μ=ν=0となる実アーベル2-拡大体の決定
内容:
任意の奇素数$p$に対して、円分$\Bbb Z_p$-拡大における
岩澤不変量が全て0となる$\Bbb Q$上のアーベル$p$-拡大
は全て決定されている。
今回は$p=2$の場合に、基本的には奇素数の場合と同じ議論
で、岩澤不変量が全て0となる$\Bbb Q$上の実アーベル$2$-
拡大を決定することが出来たので、それについて話したい。
アーベル$2$-拡大体の central class field は$\Bbb Q$上
ガロア拡大であるが、そのガロア群の構造が Fr\"ohlich
によって知られている。この群を詳しく調べることが重要で
ある。
◎5月 26日
講演者:金山 直樹(早稲田大学理工学部)
題目:種数2の超楕円曲線のJacobi多様体における
等分多項式とm倍公式について
内容: 等分多項式と呼ばれるものを用いて楕円曲線のm
倍公式を作ることが出来るのはよく知られている結
果であるが、一般の曲線のJacobi多様体においては
このような結果はまだよく知られていない。
D.Grantは1990年に、$y^2 = x^5 +...$型の超楕
円曲線$C$のJacobi多様体$Jac(C)$の定義方程式と
加法公式を導き出した。そこでは、$Jac(C)$の射影
空間P^8への埋め込みを、超楕円関数と呼ばれる4重
周期関数を用いて記述できることが基本的であった。
この超楕円関数を利用して$Jac(C)$における等分
多項式とそれを用いたm倍公式を作ることが出来た。
本講演ではGrantの仕事も紹介しながら、m倍公式
についてわかったことを発表する予定である。
◎5月 19日
講演者:橋本喜一朗(早稲田大学理工学部)
題名: 素数の2進表示について
抄: 標記の話題に関して最近考えたこと(結果, 計算, 予想など)
を話します. 具体的な内容は次の 2 点です.
1) 素数 p を2進表示して得られる数列を係数とする多項式
f_p(x) の性質, 特に Q 上の既約性
2) 素数 p を走らせたとき,上記係数がどのような分布をするか?
この様な問題を考察する motivation は, Fermat 素数と
Mersenne 素数という著名な class の素数が無限に存在する
か, という難問が出発点にあります.
そのひとつの approach として, これらの素数が 2進表示の
両極に位置していることに注目し, その間にある素数の class
にも注目してその性質を調べよう, ということです.
素数分布を2進表示の係数でより詳細に調べ, その分布の規則が
正確に把握できたら, Fermat 素数や Mersenne 素数がどのくら
いあるかが予測できるのでは, と思って約 4 億個の素数につい
て調べた結果 .....
◎5月 12日
講演者:鍬田政人(Caen大学/東京大学数理科学)
題名:N等分点上のガロワ表現が同型な楕円曲線の対について。
抄:楕円曲線のN等分点のガロワ表現がその楕円曲線の数論的
性質をよく反映にしていることはよく知られている。そこで、
同型でない楕円曲線の対で、N等分点上のガロワ表現が同型と
なるものがどれくらいあるかという問題を考える。この時、
Weil内積も込めて考えることが重要になる。前半ではこの問題
について知られていることの概要を述べ、後半では、Nが3で、
Weil内積について反同型になる場合について、そのモジュライ
空間を初等的射影幾何を使ってあらわすこと紹介する。
4月 28日
久保寺 範和(早稲田大学理工)
題名:レオポルト予想と埋め込み問題
abstract: $p$ を素数としたとき、代数体 $K$ に関する
Leopoldt予想というのは $K$ の $p$ 進regulatorが0とはなら
ないということである。このことと、$K$ の $p$ と素な任意
の素イデアル $\frak q$ に対し、$\frak q$-field というも
のが存在することと同値となることを岩澤先生が示された。こ
の条件を埋め込み問題を用いることにより、Leopoldt予想をみ
たすような十分条件を考える。
4月 14日
陸名 雄一(早稲田大学理工学部)
Title:
Constructive Inverse Galois Problem for Cyclic Groups
over Rational Function Fields
Abstract:
ある条件を満たす体 $K$ に対して、一変数有理関数体 $K(Y)$
上 $N$ 次巡回群を Galois 群にもつ「巡回多項式」を構成し
ます。これは三宅先生(都立大)と橋本先生(早大)による奇数次
の場合の結果を一般の次数に拡張したもので、Kummer (or
Artin-Schrier) でない巡回拡大を与えることができます。
さらに、これらの多項式が美しい表示と性質を持つことを示し、
その数論的性質(特に判別式)に言及します。