早稲田大学整数論セミナー    Number Theory Seminar at WASEDA Univ.

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2004 年度の内容  (コメントは講演者に書いて頂いております.)

2005 年 2 月 4 日 ( 金 )
講演者: 千田 浩司 ( NTT情報流通プラットフォーム研究所 )
タイトル: 準同型暗号を利用したマルチパーティプロトコル
アブストラクト: 準同型暗号とは、数値 a, b の暗号文 E(a), E(b) から、a+b の暗号文 E(a+b)、あるいは ab の暗号文 E(ab) が計算できるような暗号系を指し、電子投票などいくつかのアプリケーションが知られている。安全性が保証された準同型暗号は既にいくつか存在するが、E(a), E(b) から E(a+b), E(ab) の両方が計算可能な、安全な暗号方式(これを環準同型暗号と呼ぶ)は知られておらず、その実現可能性の問題も含め、現在まで様々な研究が成されてきた。
一方、準同型暗号関数 E に対して、E の秘密鍵を複数のプレーヤーに分散保持させ、その複数プレーヤーの協力の下で環準同型暗号を実現するような、いわゆるマルチパーティプロトコルの手法が最近になって提案され始めた。
本発表では、先ずいくつかの環準同型暗号方式とそれらの具体的な攻撃法を紹介し、その後、準同型暗号を利用したマルチパーティプロトコルの最近の結果について詳しく説明する。
2006 年 1 月 28 日 ( 金 )
講演者: 松野 一夫 ( 東京都立大学 理学研究科 )
タイトル: 楕円曲線の岩澤不変量が取る値について
アブストラクト: 代数体の円分Zp拡大で楕円曲線のMordell-Weil群やTate-Shafarevich群がどのように振る舞うかを記述する量として、λやμと呼ばれる楕円曲線の岩澤不変量が定義されます(楕円曲線が素数pの上にある素点でordinaryreducionを持つ場合はMazurなど、supersingular reductionを持つ場合は栗原、小林などによる)。この講演ではそれらの不変量がどのような値を取り得るか、例えば楕円曲線を動かすときλ不変量はいくらでも大きな値を取るかどうか、任意の非負整数を値として取るかどうかなどについて、予想や知られている結果、例などを紹介します。
2006 年 1 月 21 日 ( 金 )
講演者: 藤井 俊 ( 早稲田大学理工学研究科 )
タイトル: 虚二次体の最大$p$外不分岐pro-$p$拡大について
アブストラクト: 代数体の最大$p$外不分岐pro-$p$拡大のガロア群は深く研究されてきた. 本講演ではある種の虚二次体のそのガロア群の構造を調べてみたいと思う. 最初はガロア群が free pro-$p$群となる虚二次体の一つの特徴づけを紹介する. ( これは本質的に J. Minardi が1986年に扱っていた. )次に free pro-$p$群にならない場合を扱うが, free ではない pro-$p$群の中でよく知られているDemuskin 群にはなり得ないことが Euler-Poincare 標数を見ると分かる. そこで虚二次体の円分的Z_p拡大上でガロア群(\simeq Z_p)の作用込みで記述してみると, 比較的見やすい形になる場合 (p=3) があるのでそれを紹介する. 最後に今回の話の動機である$p$類体塔について簡単に述べたい.
2006 年 1 月 14 日 ( 金 )
講演者: 鍬田 政人 ( 中央大学経済学部 )
タイトル: Equal sums of sixth powers and quadratic line complexes
アブストラクト: $x^6 + y^6 + z^6 = u^6 + v^6 + w^6$ という素朴な Diophantus 方程式の解をコンピュータをもちいて探していくと、その多くが $x^2 + y^2 + z^2 = u^2 + v^2 + w^2$ という方程式も同時にみたしていることがわかる。幾何学的に見ると、最初の式で定まる Calabi-Yau 4次元多様体の有理点のうち height の小さいものは2番目の式で定まる3次元部分多様体に密集していると云うことであるが、さらに詳しく調べると、見つかっている有理点の大多数は2つの K3 部分曲面の中に含まれている。このうちのひとつが、quadratic line complex の理論を通じて $y^2 = (x^2+1)(x^2+2x+5)*(x^2-2x+5)$ という種数2の曲線のJacobian から得られる Kummer 曲面になっていることを示す。この結果をもとに、ある楕円曲線の quadratic twist を調べることにより、最初の方程式の解が得られることを述べる。
2005 年 12 月 17 日 ( 金 )
講演者: 久保寺 範和 (日本電気株式会社 システム基盤ソフトウェア開発本部)
タイトル: On Leopoldt's conjecture for non-abelian extensions (非可換拡大のレオポルト予想について)
アブストラクト: $p$ を素数としたとき、有限次代数体 $K$ に関するLeopoldt予想というのは $K$ の $p$ 進regulatorが0とはならないということです。$K$がabelな拡大体の場合には、Ax、BrumerによりLeopoldt予想が成立することが既に証明されています。しかしnon-abelの場合には未だ示されていません。
本講演では、有理数体上non-abelな拡大体で、Leopoldt予想を満たす無限族の構成方法を示します。また、Leopoldt予想の十分条件を示します。(十分条件を満たすnon-abelな具体例もいくつか紹介します。)この証明には、岩澤先生の示されたLeopoldt予想の同値条件と埋め込み問題を用いています。なお、本講演は学位公聴会を兼ねております。
2004 年 12 月 3 日 ( 金 )
講演者: Francisco Thaine ( Concordia Univ. )
タイトル: Cyclotomy over characteristic zero domains
アブストラクト: Let m be an integer >2, D an integrally closed characteristic zero domain and K its field of fractions. We show some matrices with entries in K, that generalize matrices of cyclotomic numbers of order m, and whose characteristic polynomials belong to D[x] and have roots which generalize (real and complex) Gaussian periods of degree m. Our method to construct such matrices relies on the equivalence of some properties that characterize matrices of cyclotomic numbers with properties that characterize Jacobi sums and on the construction of those (formal) Jacobi sums using Stickelberger theorem and suitable sets of roots of unity.
2004 年 11 月 26 日 ( 金 )
講演者: 軍司 圭一 ( 東京大学大学院数理科学研究科 )
タイトル: レベル3構造を持つアーベル多様体の定義方程式
2004 年 11 月 19 日 ( 金 )
講演者: 千田 雅隆 ( 東北大学大学院理学研究科 )
タイトル: Simultaneous non-vanishing of twisted modular $L$-functions
アブストラクト: 保型形式に付随する$L$-関数のcritical valueは数論の様々な問題と関連する重要な研究対象である。今回は複数の偶数weightのnormalized Hecke eigen newformに付随するL関数に対し、それらのquadratic twistsのcentral valueが同時に消えないものが無限に存在するための十分条件について紹介する。時間に余裕があれば、$2$-進Galois表現の像に関する問題との関連や幾つかの例、さらには二次体上の合同数問題への応用についても述べたい。
2004 年 11 月 12 日 ( 金 )
講演者: 谷口 隆 ( 東京大学大学院数理科学研究科 )
タイトル: 単純環のペアの空間に付随するゼータ関数と2次体の類数の2乗の密度定理
アブストラクト: 2変数2次形式の空間が2次体の類数と関係することはよく知られているが、同様の対応として、四元数環のペアの空間と2次体の類数の2乗の関係がある。これらの空間は概均質ベクトル空間とよばれるものの例であり、付随するゼータ関数を考えることができる。
今回、このゼータ関数の極の情報から表題の密度定理を得た。他の空間の場合など関連する話題を含め、証明の概略を話したい。
2005 年 11 月 5 日 ( 金 )
講演者: 多田 祐樹 ( 早稲田大学大学院理工学研究科 )
タイトル: Catalan予想の証明の紹介
アブストラクト: Catalan予想とは、$x^p-y^q=1\ (p,q> 1)$には自然数解が$3^2-2^3=1$以外に存在しないという予想であった。この予想は次の論文において、Paderborn大学のPreda Mih\u{a}ilescu氏により証明された。(Primary cyclotomic units and a proof of Catalan's conjecture, J. reine angew. Math. 572(2004), 167-195)
本講演ではこの論文を、特に円分体、円単数の理論(Thaineの定理など)が展開されている部分を中心に紹介します。
2004 年 10 月 29 日 ( 金 )
講演者: 長谷川 武博 ( 早稲田大学 理工学研究科 )
タイトル: 関数体の塔のGarcia-Stichtenoth数と符号
アブストラクト: 本講演では,関数体の塔の最近の話題(できれば符号と関係まで)を紹介する.特に,符号に応用できそうなものとそうでないものの例を与える.研究の目的は ``工学的に良い''符号(代数幾何符号)を構成することにある.その歴史は非常に浅く,まだ20年もないが,研究の中で使われている道具には非常に歴史がある: function fields,algebraic curves,class field theory,modular curves.時間があれば,関数体の塔とこれらがどのように関係しているのかも説明したい.
2005 年 10 月 22 日 ( 金 )
講演者: 石坂 瑞穂 ( 早稲田大学 )
タイトル: 写像類群の幾何学的にうまく行っているところとそうでもないところ
2004 年 10 月 15 日 ( 金 )
講演者: Kalyan Chakraborty ( Harish Chandra Research Institute )
タイトル: On the Diophantine equation x + y + z = xyz = 1.
アブストラクト: In 1956 Werner Mnich asked the question whether there exists three rationals whose sum and product equals one. This was orally asked by Mordell to J.W.S. Cassels and he proved the non-existence of three such rationals. I will talk about his proof and also explore the solvability of this system of equations in the ring of integers of quadratic number fields.
2004 年 10 月 8 日 ( 金 ) 【大学院講演会】
講演者: Siegfried Boecherer (Univ. Mannheim)
タイトル: ON THE BASIS PROBLEM FOR SIEGEL MODULAR FORMS
アブストラクト: We describe the technical difficulties which arise in the basis problem with levels. In the case of squarefree level (and primitive nebentypus) we can overcome these difficulties by using (among other things) a recent result of Katsurada and Schulze-Pillot on genus theta series.
2004 年 10 月 1 日 ( 金 )
講演者: 鈴木 正俊 ( 名古屋大学大学院多元数理科学研究科 )
タイトル: Euler積と関数等式を持つDirichlet級数の零点について
アブストラクト: 本講演ではEuler積と関数等式を持ち、加えて幾つかのよい条件を満たすDirichlet級数たちの零点の間にある関係が存在するという事について報告する。特にRiemannゼータ関数の零点との絡みを中心に話を進める。$GL(n)$の保型表現の$L$-関数などは現時点では予想である性質も仮定すれば今回の講演の範疇に属す。
タイトル: Eisenstein級数のある積分に関するRiemann予想 (Jeffrey C. Lagarias氏との共同研究)
アブストラクト: 古典的に知られているようにSL(2,Z)に関する実解析的Eisenstein級数E(z,s)は変数$s$について標準的な関数等式を持つ。この事からEisenstein級数を適当なSL(2,Z)‐不変測度で基本領域上積分した関数も関数等式を持つ。所謂Rankin-Selberg法の要である。本講演では特別な測度に関してEisenstein級数を基本領域上で積分した関数がリーマン予想の類似を満たすという事について述べる。この結果の一部として最近L.Weng氏の定義したランクrの非可換ゼータ関数というものがランク2の場合にリーマン予想の類似を満たしている事が確かめられる。
2004 年 7 月 16 日 ( 金 )
講演者: 小林 真一(名古屋大学), 坂内 健一(名古屋大学)
タイトル: CM 楕円曲線に付随する L-関数値の2変数母関数とその代数的特徴づけ
アブストラクト: 本講演では、CM 楕円曲線に付随する Hecke L-関数の特殊値の2変数母関数が、もとの楕円曲線のポアンカレ束に付随するテータ関数で与えられることを紹介する。この表示より、Damerell の定理など、Hecke L-関数の特殊値の代数性は、代数的テータ関数の理論から従う。
L-関数の特殊値の母関数を捉えることは、p-進 L-関数を構成するために有用である。楕円曲線が p で good ordinary reduction を持つ場合、この2変数母関数を用いて Katz-Yager の2変数 p-進 L-関数の別構成を与える。また、楕円曲線が p で good supersingular reductionを持つ場合、2変数母関数の p-進的な振る舞いに対する考察を紹介する。
2004 年 7 月 9 日 ( 金 )
講演者: 若槻 聡(大阪大学大学院 理学研究科)
タイトル: 局所ゼータ関数とb-関数について
アブストラクト: 本講演では, 局所ゼータ関数とb-関数の性質や関係について紹介する.特に, p-進体上の局所ゼータ関数である井草局所ゼータ関数に関するJ. Igusaによる結果について主に述べる.概均質ベクトル空間の相対不変式についての井草局所ゼータ関数の具体例から観察できる井草局所ゼータ関数とb-関数の対応について話したい.
2004 年 7 月 2 日 ( 金 )
講演者: 森下 昌紀 ( 金沢大学理学部 )
タイトル: Arithmetic topology on pro-p link groups
アブストラクト: 素数と結び目の類似に基づき、絡み目の巡回被覆のp-homologyについて、高次種の理論、岩澤類数公式の類似を与える(joint with J. Hillman and D. Matei)
タイトル: Massey products and class towers
アブストラクト: 2次体の2-類体塔のGalois群の構造と高次絡み数の関係(D. Vogelの最近の結果を含む)
タイトル: Higher tame symbols on curves
アブストラクト: 絡み数、Legendre記号、終結式は各々結び目理論、数論、代数幾何学における類似物である。前2者についてはその高次化が知られている. ここでは、代数幾何における類似、すなわち代数曲線上のtame symbolの高次化を定義する。特に、複素数体上の場合に幾何的な構成を与える。
2004 年 6 月 25 日 ( 金 )
講演者: 後藤 英樹(明治大学大学院 理工学研究科)
タイトル: 虚アーベル体上のNon-cyclotomic Zp-拡大の岩澤不変量について
アブストラクト: pをodd primeとして、Q上の虚2m次体Kにおいて相異なる2m個のprimeに完全分解するものとし、p上のprimeによるray class fieldsを用いてK上のあるNon-cyclotomic Zp-拡大が構成できる. このときK_{\infty}/Kにおいてm個のprimeが完全分岐するならば岩澤不変量\lambda = \mu =0となる一つの判定法を与えることにする。
2004 年 6 月 18 日 ( 金 )
講演者: 栗原 将人 (東京都立大学理学研究科)
タイトル: 楕円曲線の2つの p 進 L 関数の応用について
アブストラクト: 楕円曲線が p で超特異還元をもつとき(a_{p}=0 のとき) Pollack は二つの p 進 L 関数を定義し、小林真一氏はその代数的意味を明らかにした(岩澤主予想を定式化した)。ここでは岩澤主予想とは異なる形の、この2つの関数の楕円曲線の数論への応用(有理点、Selmer 群などへの)について、計算的側面もこめて述べることにする。
2004 年 6 月 11 日 ( 金 )
講演者: 山内 卓也(広島大学・理)
タイトル: bielliptic modular curve X_0(N)上のj-invariantについて
アブストラクト: 楕円曲線の不変量であるj-invariant は自然な引き戻しによってmodular curve X_0(N) 上の関数となる。本講演ではbielliptic となるmodular curve $X_0(N)$に対して j-invariant をX_0(N)のlocal affine coordinate を用いて具体的に表現する公式(またはその方法)を紹介する。(本講演の内容は日比野氏と村林氏の結果の類似であることを注意しておく。) また、その応用として Q-curve の無限族を具体的に構成し、そのmodularity を検証する。
2004 年 6 月 4 日 ( 金 )
講演者: 市原 由美子 ( 広島大学大学院工学研究科 )
タイトル: Siegel-Tatuzawa の定理について
アブストラクト: 現在、様々な L 関数について Siegel の零点の研究がされている。特に non-effective な定数を用いて L 関数の s=1 での値を下から評価する Siegel の定理に関しては、Golubeva-Fomenko らにより、いくつかの L 関数に対して、同様の結果が証明されてきた。しかし、高々一つの例外を除くことにより、effective な定数を用いて L 関数の s=1 での値を下から評価するという、Tatuzawa の定理の証明については、Siegel の定理の証明で有効であった補助関数が再び有効であるとは限らず、Tatuzawa の定理まで示された L 関数は少い。
しかし、新しいタイプの補助関数を導入し、一般の L 関数に対してのSiegel の定理、Tatuzawa の定理の証明方法を構成することができたので、それを紹介する。また、これにより、自然な仮定の元で、一般の symmetric power L 関数に対しての Siegel, Tatuzawa の定理も示すことができることも分かった。(名古屋大学、松本耕二氏との共同研究)
2004 年 5 月 28 日 ( 金 )
講演者: 角皆 宏 (上智大学)
タイトル: 対称群のSylow部分群に関するNoether問題とその応用
アブストラクト: n 次対称群 S_n の部分群 G に関するNoether問題「有理関数体K(x_1,...,x_n)に変数の置換で G が作用する時、 その不変体は有理的か?」は一般には肯定的でも否定的でもあり得る非自明な問題である。この問題に対し、G が S_n の 2-Sylow 部分群の時には肯定的であることが判ったので報告する。複比の体に関するNoether問題への応用についても述べる。
2004 年 5 月 21 日 ( 金 )
講演者: 小林 弘明 (東京都立大学 理学研究科)
タイトル: Kummer theoryの2次の降下によって得られる巡回多項式について
アブストラクト: 正の整数 n に対して ζ を 1 の原始 n 乗根、ω:=ζ+ 1/ζ とする。体 k は ω を含むとして K := k(η')を k 上 n 次巡回拡大とすると、Kummer theory の2次の降下を利用して K/k を生成する η∈K 及び η の k 上最小多項式 f(η,k;x)を求めることができる。この f(η,k;x)の判別式は極めてきれいな形をしている。講演者は昨年4月に都立大の整数論セミナーで η'の最小多項式 f(η',k;x)を具体的に与えずに話をした。今回、n=3,4 の場合にf(η',k;x)の係数でf(η,k;x)の係数を表すことに成功したので紹介させて頂く。
2004 年 5 月 14 日 ( 金 )
講演者: 豊重 巨之 (早稲田大学大学院理工学研究科)
タイトル: 多重Hurwitzゼータ関数の解析接続と特殊値に関する考察
アブストラクト: 多重Hurwitzゼータ関数の定義は様々な形のものが知られていますが,この講演では解析接続や級数計算が行いやすいように改良したものを導入します.解析接続を証明した後,負の整数点における特殊値の表示を与え,多重$L$関数の負の整数点における特殊値との関連について言及します.また,級数計算を行うことで得られた多重Hurwitzゼータ値の興味深い関係式についても報告したいと思います.
2004 年 5 月 7 日 ( 金 )
講演者: 水沢 靖( 早稲田大学理工学研究科 )
タイトル: 虚二次体の円分 Z_2 拡大と可換 2-類体塔について ----- 尾崎 学 氏( 島根大学 )との共同研究 -----
アブストラクト: 素数 p に対して、代数体 F の最大不分岐 pro-p 拡大のGalois群 Gal(L~(F)/F) を考える.その交換子群列に対応する中間体の列が F の p-類体塔と呼ばれるものであり、Gal(L~(F)/F) がアーベル群となる場合に、F は“可換 p-類体塔”を持つという.講演では特に p=2 の場合に、これらの対象を代数体の円分 Z_p 拡大上で考え、虚二次体 k の円分 Z_2 拡大体 K の最大不分岐 pro-2 拡大のGalois群 G~=Gal(L~(K)/K) を考察し、G~ が非巡回的アーベル pro-2 群となる虚二次体 k の存在と、その構成方法等についてお話しします.
2004 年 4 月 30 日 ( 金 )
講演者: 綱 友之 ( 早稲田大学 理工学研究科 )
タイトル: 種数2の超楕円曲線のヤコビアンの群構造について
アブストラクト: 有限体K上の楕円曲線EのK有理点群E(K)について(#E(K)の素因数分解が得られているという仮定の元で)Weil pairingを用いてE(K)の群構造を決定するアルゴリズムが Miller によって与えられている.
本講演では,有限体K上定義されたY^2=(Xの5次式)型の超楕円曲線のJacobi多様体 J で
・#J(K)の素因数分解が得られている
・J(K)が二つの巡回群の積と同型である
の両方を満たしているものに対して Miller のアルゴリズムを拡張した結果について報告する.
2005 年 4 月 15 日 ( 金 )
講演者: 藤井 俊 ( 早稲田大学 理工学部 )
タイトル: Some non-abelian extensions over Z_p-extensions and p-class field towers
アブストラクト: Z_p拡大の理論の一つの側面として、Z_p拡大上での数論的対象の構造の考察、およびその対象への Z_pの作用が著しい結果を生み出しているということがある。この度のセミナーでは、Z_p拡大上の非可換ガロア拡大のガロア群への Z_pの作用を見る、ということについて、私がこれまで行ってきた研究について話したいと思う。