2006 年度の内容 (コメントは講演者に書いて頂いております.)
2007 年 2 月 2 日 ( 金 )
講演者 1
堀 博之 ( 早稲田大学 )
タイトル
2次体の類数が3で割り切れるための条件について
アブストラクト
2000年に2次体の類数が3で割り切れるための必要十分条件がKishi-Miyake によって与えられた.一方,Yamamoto-Ueharaによって,虚2次体の類数が 素数で割り切れるための必要条件が与えられている. 今回は,この両定理が同じ形に書き換えられることを紹介する. また,この書き換えから,ある2つの2次体の間のSpiegelung Relationsと 呼ばれる関係の一端が説明されることについても紹介する.
講演者 2
岡本 亮彦 ( 早稲田大学 )
タイトル
Galois表現と重さ 1 のcuspformのテータ級数表示
アブストラクト
デデキントのエータ関数を2つかけて作ったエータ積η(aτ)η(bτ) (a+b=24k a|b a,b,k:自然数)は重さ1,適当なレベルと指標の modular formになります. このmodular form をGalois表現に付随するcuspformと 2次形式に付随するテータ級数を用いて考察します. 具体例としてkが6以下のときにはエータ積が2次形式に付随する テータ級数の差で表せることが示せたのでその結果を話します.
講演者 3
酒井 一哉 ( 早稲田大学 )
タイトル
円の2^n分体の最大実部分体の類数について
アブストラクト
1900 年頃 weber は、円の2^n分体の最大実部分体の類数が 奇数であることを証明し、すべてのnについて、類数が1であ ると予想した。今回は、その類数が3で割り切れるのか、 割り切れないのか、ということについて、計算結果から わかることをお話します。
2007 年 1 月 26 日 ( 金 )
講演者
小林 真一 ( 名古屋大学 )
タイトル
CM楕円曲線の超特異点における2変数p進L関数
アブストラクト
CM楕円曲線の2変数p進L関数は、楕円曲線がpで通常還元を もつときは、Manin-Vishik, Katz, Yager, de-shalitらによる様々な構成法が 知られている。それに対し超特異還元をもつpでは2変数p進L関数の存在は 知られていない。この講演では坂内健一氏との共同研究で、 ある種の2変数p進L関数が超特異な素点でも構成できたことを紹介する。 この2変数p進L関数は、2変数目を固定したときは、 山本修司氏の超特異1変数p進L関数になっており、彼の結果を自然に拡張するもの である。 ただし2変数に関しては、特殊値の間にある意味自然な合同関係式は 存在しないと思われ、この関数は一変数を固定したときの合同関係式と、 ある種の2変数p進可除性を反映するもである。 構成手法は、Theta関数を使ったHecke L-関数の特殊値の母関数表示、 形式群のDieudonne理論とColmezのp進積分論、 Schneider-Teitelbaumのp-進Fourier理論の精密化を用いる。
2007 年 1 月 19 日 ( 金 )
講演者
陸名 雄一 ( 早稲田大学 )
タイトル
D5 多項式の標準化と同型問題
アブストラクト
Brumer の多項式
f(s,t;X):=X5+(t-3)X4+(s-t+3)X3+(t2-t-2s-1)X2+sX+t ∈ Q(s,t)[X]
(Q: 有理数体) は有理函数体 Q(s,t) 上の D5 (5 次二面体群) 多項式であり, 任意の D5 拡大をパラメーター s, t の特殊化によって表すことができる. そこで, 「先に D5 拡大を与えるとき, 対応する Brumer 多項式のパラメーターの値を決定せよ」という問題を考える. これは「与えられた D5 多項式をチルンハウス変換によって (基礎体を保ったまま) Brumer 型にせよ」と言い替えることができ, 「D5 多項式の Brumer 型への標準化問題 (Brumer 化問題)」と呼ぶことが可能であろう.
多項式の係数が全て有理数である場合は近似計算によって容易に標準化を与えることができる. しかし, 係数がパラメーターを含む場合にこれを実行することは困難である. 講演の前半では, Brumer 型の標準化問題を近似計算を用いない方法で解決する. この種の結果の表示は膨大な数式を伴うのが常であるが, 今回の結果は比較的`軽い'表示を持っている.
「f(s,t;X) と f(u,v;X) (s,t,u,v ∈Q) が同一の最小分解体を持つ為の必要十分条件を求めよ」という問題は Brumer 多項式の「同型問題」と呼ばれ, 未解決の問題である. 講演の後半では, 上記の結果を用いた「再 Brumer 化」を行なって特徴的な十分条件を見出し, 幾つかの考察を行なう.
2007 年 1 月 12 日 ( 金 ) «学位公聴会»
講演者
岡野 恵司 ( 早稲田大学 )
タイトル
代数体の p 拡大上の最大不分岐 pro-p 拡大について
アブストラクト
素数 p に対して, 有限次代数体の円分的 Z_p 拡大を考え, その上の最大不分岐 pro-p 拡大を岩澤理論を使って考察します. この Galois 群の構造解明が研究の最大目標です. 今回はこの Galois 群が Abel となるための条件, およびこの Galois 群の構造に関する考察から中間体の p 類体塔の構造を導く手法について, 私が現在までに得た結果をお話しします.
2006 年 12 月 22 日 ( 金 )
講演者 1
Anna Cadoret ( RIMS/JSPS )
タイトル
Abelian constants for covers and applications on the profinite regular inverse Galois problem
アブストラクト
Given a field k and a (pro)finite group G, consider the following weak version of the regular inverse Galois problem:
(WRIGP/G/k) there exists a smooth geometrically irreducible curve XG/k and a Galois extension E/k(XG) regular over k with group G.
(the regular inverse Galois problem (RIGP/G/k) corresponding to the case XG=P1k).
A standard descent argument shows that for a finite group G the (WRIGP/G/k) can be deduced from the (RIGP/G/k((T))). For profinite groups G, the (WRIGP/G/k((T))) has been proved for lots of fields (including the cyclotomic closure of characteristic 0 fields) but the descent argument no longer works.
Let p≥2 be a prime, then a profinite group G is said to be p-obstructed if it fits in a profinite group extension
1→K→G→G0→1
with G0 a finite group and K→Zp. Typical examples of such profinite groups G are universal p-Frattini covers of finite p-perfect groups or pronilpotent projective groups. I will show that the (WRIGP/G/k) - even under its weaker formulation:
(WWRIGP/G/k) there exists a smooth geometrically irreducible curve XG/k and a Galois extension E/k(XG).\overline{k} with
group G and field of moduli k.
- fails for the whole class of p-obstructed profinite groups G
and any field k which is either a finitely generated field of
characteristic 0 or a finite field of characteristic≠;p.
The proof uses a profinite generalization of the cohomological obstruction for a G-cover to be defined over its field of moduli and an analysis of the constrainsts imposed on a smooth geometrically irreducible curve X by a degree pn cyclic G-cover Xn→X, constrainsts which are too rigid to allow the existence of projective systems (Xn→XG)n≥0 of degree pn cyclic G-covers defined over k. I will also discuss other implicsations of these constrainsts for the (RIGP).
講演者 2
河村 尚明 ( 北海道大学 )
タイトル
Ikeda's conjecture on the period of the Ikeda lifting
(joint work with Professor H. Katsurada)
アブストラクト
Let n and k be positive even integers satisfying that k > n+1. Then we could consider the so-called Ikeda lifting of elliptic cusp forms of weight 2k-n to Siegel cusp forms of degree n and weight k, which is a generalization of the Saito-Kurokawa lifting. Professor T. Ikeda gave a conjecture on the period of the lifting. In this talk, I would like to explain our strategy for proving this conjecture and to report recent progresses, in particular, in the case n=4.
2006 年 12 月 8 日 ( 金 )
講演者
水野 義紀 ( 慶應義塾大学 )
タイトル
Siegel 型 Eisenstein 級数の Fourier 係数に関する話題
アブストラクト
- 2次素数レベルのSiegel-Eisenstein級数のFourier係数の、きわめて簡単な表示を述べる。応用としてNagaokaのp-進Siegel-Eisenstein級数をレベル付に拡張し、それが実際にSiegel保型形式になることを示す。
- 以上のレベル付Fourier係数の決定をHermite保型形式に拡張しようとするとKoecher-Maass級数のはなし、3次元上半空間のスペクトル理論及びKatok-Sarnak型実解析的Shimura対応が必要になる。これらについて述べて、特に3次元上半空間の定数関数とEisenstein級数についてのKatok-Sarnak型対応を示す。
2006 年 12 月 1 日 ( 金 )
講演者
中里 肇 ( 東京工業高等専門学校 )
タイトル
SL_2 の cohomology 消滅定理と楕円曲線の弱 Leopoldt 予想について
アブストラクト
素数 p が p>5 のとき, ある種の加群に対する, SL_2(Z_p)の cohomology 消滅定理を得て, 虚数乗法を持たない楕円曲線 E/F に対して,
Gal(F(E_p)/F(\mu_p)) = SL_2(F_p)
である素数 p(>5) について, 所謂 "so-called" 弱 Leopoldt 予想
H^2(Gal(F^S/F_{cyc}),E_{p^\infty}) = 0
を証明する.
ここで, F_{cyc} は F の円分的 Z_p 拡大を表す.
2006 年 11 月 24 日 ( 金 )
講演者
後藤 丈志 ( 東京理科大学 )
タイトル
楕円曲線のセルマー群と奇グラフ
アブストラクト
本講演では, 有理数体上定義された楕円曲線のセルマー群の大きさを, グラフ理論の言葉で表す研究を紹介する. このような研究は, 合同数問題に対応した楕円曲線で行われていたが, 連結凖同型の像を記述しておくことにより, もっと一般の楕円曲線でも同様の結果を得ることができる. 例として, その他の古典的問題に対応した楕円曲線についての結果を述べる.
2006 年 11 月 17 日 ( 金 )
講演者
Michel Emsalem ( リール大学 )
タイトル
Fundamental Groupoid of a Stable Curve
アブストラクト
We are given a relative marked curve over a stricly henselian ring, with a smooth generic fiber. The goal of this talk is to present a "Comparison Theorem" which describes the fundamental groupoid of the generic geometric fiber of the curve in terms of the fundamental groupoids of the components of the special fiber. To illustrate the theorem, we'll show a few applications :
- the attempt to find a purely algebraic proof of the structure theorem on the geometric fundamental group of a proper smooth curve minus a finite number of points, which succeeds for the pronilpotent part [joint work with N.Borne]
- a proof of Nakajima's theorem which asserts that a p-abelian cover of the generic curve is ordinary ;
- recent results on the characterisation of the so called g-p-components of Hurwitz spaces - introduced by M. Fried in his modular tower program - by the type of points sitting in their boundary [joint work with P.D`ebes]
2006 年 11 月 10 日 ( 金 )
講演者
小松 亨 ( 九州大学 )
タイトル
On arithmetic non-genericity of a cyclic polynomial
アブストラクト
パラメータを持つ幾つかの巡回多項式に関してそれらの非生成性を幾何的な議論によって以前に証明していた. 今回は, 昨年お話しした Artin 記号 (Frobenius 置換) の計算を用い数論的な議論によって幾つかの巡回多項式の非生成性の別証明を与える.
2006 年 10 月 20 日 ( 金 )
講演者
Christian Wuthrich ( Lausanne Univ. )
タイトル
On the fine Selmer group
アブストラクト
Let p be an odd prime. Within the usual p-power-Selmer group of an elliptic curve E over a number field K, one can define a natural subgroup, called the fine Selmer group, by imposing stronger local conditions at places above p. I will speak about some facts on the fine Selmer group over number fields and over Z_p-extensions.
2006 年 10 月 13 日 ( 金 )
講演者
長谷川 武博 ( 早稲田大学 )
タイトル
漸近的に良い1点代数幾何符号の列の構成
アブストラクト
前回 (2004 年 10 月 29 日)の続きで, ある函数体の塔から1点代数幾何符号の列を構成する. §1 では, いくつか函数体の塔を紹介し, それらの一般化 Garcia-Stichtenoth 不変量 (その塔に漸近的に良い代数幾何符号の列を作る能力がどのくらいあるかを図る量) を計算する. §2 では, このうち1つの塔から, 漸近的に良い1点代数幾何符号を具体的に構成する.
2006 年 10 月 6 日 ( 金 )
講演者
平之内 俊郎 ( 九州大学 )
タイトル
Extensions of truncated discrete valuation rings
( 田口雄一郎先生との共同研究 )
アブストラクト
局所体の拡大とその付値環の或る商である"truncated" dvr の拡大の圏を比較する. 不分岐拡大と剰余体の拡大が一対一対応するのと同じ様に, 分岐に関する条件を加えれば, 局所体と "truncated" dvr の拡大の圏が同値になる (Deligne). 今回は, 古典的な(上付き)分岐群の代わりにAbbes-斎藤による分岐群を用いて分岐に関する条件を与える. そして, この分岐群の Rigid 幾何的解釈を踏襲する事で Deligne の定理の剰余体が非完全な場合への一般化が得られる事を述べる.
2006 年 7 月 14 日 ( 金 )
講演者
佐藤 文広 ( 立教大学 )
タイトル
実解析的 Eisenstein 級数の Koecher-Maass 級数と概均質ベクトル空間
アブストラクト
Sp_n, SO(2n,2n), GL(2n) などの古典群の(Siegel タイプの放物型部分群に対する)実解析的 Eisenstein 級数の Fourier 展開から定義される Koecher-Maass 型の Dirichlet 級数が, ある種の概均質ベクトル空間の(2 変数)ゼータ関数と一致していることを示す. これにより、概均質ベクトル空間の(1 変数)ゼータ関数が保型形式と結びつく新しい例も得られる。
2006 年 7 月 7 日 ( 金 )
講演者
中野 伸 ( 学習院大学 )
タイトル
類数が偶数の5次巡回体のある族について
アブストラクト
Emma Lehmer は、Gauss 周期に関連して、ひとつのパラメータ t を持つ5次巡回多項式 f(t,X) を提示しました。 この講演では、f(t,t+1)=t^3+5t^2+10t+7 となること、および有理数体上の楕円曲線
E : U^2=T^3+5T^2+10T+7
の階数が(幸運にも)1であることに注目し、E の有理点 (t,u) を利用して、不分岐2次拡大を持つ5次巡回体の構成を試みます。 また、この方法で、類数が偶数となる5次巡回体が無限個構成できることもお話します。
2006 年 6 月 30 日 ( 金 )
講演者
志村 真帆呂 ( 東海大学 )
タイトル
On the logarithmic derivatives of Dirichlet L-functions at s=1
(joint work with Prof. Yasutaka Ihara).
アブストラクト
Let m be a positive integer and χ a primitive Dirichlet character mod m. Let L(χ, s) be the associated L-function . We discuss the logarithmic derivatives at s=1 L'/L(χ, 1). We talk about some results of their quantities (sum, mean value of absolute squares, distribution etc.).
2006 年 6 月 23 日 ( 金 )
講演者
Wen-Ch'ing Winnie Li ( Pennsylvania State University )
タイトル
Modular forms for noncongruence subgroups
アブストラクト
Unlike modular forms for congruence subgroups, the arithmetic of noncongruence forms has not attracted much attention. The pioneering work in this area was done by Atkin and Swinnerton-Dyer, who suggested replacing the recursive relation arising from the Hecke operators by congruence relations. In mid 1980's, Scholl attached, to each space of cuspforms for a noncongruence subgroup over Q, l-adic representations of the Galois group over Q. Not much progress has been made since.
Recently, working jointly with Oliver Atkin, Ling Long and Zifeng Yang, we exhibited a 2-dimensional and a 3-dimensional space of noncongruence cusp forms, each of which has a basis satisfying the ASD congruence relations with Fourier coefficients of congruence cuspforms. Moreover, we showed that the associated Scholl representations are modular. In this talk I shall discuss these examples, which reveal interesting connections between the arithmetic of congruence and noncongruence modular forms.
2006 年 6 月 16 日 ( 金 )
講演者
江田 勝哉 ( 早稲田大学 )
タイトル
Grope groups について
アブストラクト
Grope は Topology において、円周にハンドルをつける操作を続けてつくられる空間に対してつけられた名前で、この Grope については J. Cannon [2] にとても面白い記述があります。また A. J. Berrick [1] には他の perfect group と共に群として現れる側面をまとめてあります。Grope group は Grope の基本群ですが perfect, locally free な群つまり交換子部分群が全体と一致し、有限生成部分群は自由群となる群の典型的なもので、与えられた perfect group とその元から自然につくられる群です [3]。
2 年前に M. Cencelj (Ljubljana) に訊かれた問題「1 ハンドルをつけ続けてできる空間の基本群と、2 ハンドルをつけ続けてできる空間の基本群は同型か? 」について答えがわかったので、その結果を以下に報告します。この内容は M. Cencelj, A. Vavpetic (Ljubljana) との共著の論文のなかに書かれる予定です。
- A. J. Berrick, A topologists view of perfect and acyclic groups, Invitations to geometry and topology, Oxford Univ. Press, 2002, pp. 1-28.
- J. W. Cannon, The recognition problem: What is a topological manifold?, Bull. Amer. Math. Soc. 84 (1978), 832-866.
- A. Heller, On the homotopy theory of topogenic groups and groupaids, Ill. J. Math. 24 (1980), 576-605.
2006 年 6 月 9 日 ( 金 )
講演者
広中 由美子 ( 早稲田大学 )
タイトル
局所密度の一次独立性とその保型形式の数論への応用
アブストラクト
Z_p 上で,非退化対称行列 S から非退化対称行列 T を表現する解の個数の密度(局所密度) α_p(S,T) を,T の関数としてみて,一次独立となる良い S の集合を与える.
Siegel 上半平面上の保型形式の典型例である genus theta 級数や Eisenstein 級数は,もちろん大局的な対象であるが,上の局所密度の結果を適用すると,これらの関数の一次独立性が導かれる.それにより,例えば,level N がsquare-free のときには,Eisenstein 級数の空間 E^n_k(N, χ)$ が genus theta 級数で張られることが分かる ( N が素数,χ ≠ 1 のときは Katsurada + Schulze-Pillot の結果).
(Siegfried Böcherer,Fumihiro Sato 両氏との共同の仕事である.)
2006 年 6 月 2 日 ( 金 )
講演者
浅井 哲也 ( 元静岡大学教授 )
タイトル
楕円ガウス和と楕円デデキント和
アブストラクト
4次あるいは3次の指標は円周等分値よりはレムニスケート等分値と相性がよい.自然かつ素朴に「楕円ガウス和」を定義して,その値と符号を観察するとき,顕著な現象が見られることを報告したい.またレムニスケートに即して新たな「楕円デデキント和」が定義されるが,それは自然に「楕円ガウス和」と関連させて捉えることができる.
講演ノート
2006 年 5 月 26 日 ( 金 )
講演者
藤井 俊 ( 早稲田大学 )
タイトル
On the torsion of p-ramified Iwasawa modules for Z_p^2-extensions
アブストラクト
昨年末に早稲田大学整数論セミナーでお話しした p 分岐岩澤加群の岩澤代数上の torsion に関して、
- torsion が消えているというのはどういうことか
- torsion を持つ総実でない体はあるのか
という事柄についてお話しいたします。
2006 年 5 月 19 日 ( 金 )
講演者
本郷 卓 ( 首都大学東京 )
タイトル
Stickelberger 元の係数の分母について
アブストラクト
アーベル体 K の Stickelberger 元は一般に有理数係数であり、K の導手を N とすると、定義からは N の素因子は全てその分母に現れる可能性がある。しかし実際には全ての N の素因子が分母に現れるわけではない。今回はこのことについて話をする。
2006 年 5 月 12 日 ( 金 )
講演者
橋本 喜一朗 ( 早稲田大学 )
タイトル
Some Topics on Quaternion orders (Survey talk)
アブストラクト
四元数環の整数環に関するいくつかの話題についての概説です. 以下の 3 個の話題を中心にしてお話しする予定です.
- 局所体および大域体上の四元数環の整数環 (order) の分類に関する話題
- Eichler-Shimizu-Jacquet-Langlands 対応
- 有理数体上の定符号四元数環の整数環: Type number と theta 級数
2006 年 4 月 28 日 ( 金 )
講演者
岡野 恵司 ( 早稲田大学 )
タイトル
虚二次体上の円分的 Zp-拡大の Abel p-類体塔
アブストラクト
素数 p を固定する. 代数体の最大不分岐 pro-p-拡大は p-類体塔とよばれ, Zp-拡大上の最大不分岐 pro-p-拡大を知ることは, 中間体の p-類体塔を調べる大きな手がかりとなり得る. 本講演では, 奇素数 p に対して虚二次体の円分的 Zp-拡大上の最大不分岐 pro-p-拡大を考え, この拡大が Abel 拡大となる場合を決定したことについて報告します. (素数 p=2 のときは上智大の水澤靖氏, 近畿大の尾崎学氏により決定されている)
2006 年 4 月 21 日 ( 金 )
講演者
小松 啓一 ( 早稲田大学 )
タイトル
Q(√p) の Z2 拡大の λ 不変量について
2006 年 4 月 14 日 ( 金 )
講演者
坂田 裕 ( 早稲田大学高等学院 )
タイトル
2 冪レベルを持つ半整数ウエイトの保型形式を決定するための条件
アブストラクト
本講演では, 2 冪レベルを持つ半整数ウエイトの保型形式の場合に対して Kohnen - Zagier の公式 (に相当する公式) をある条件下で新たに構成し, この条件を満たす半整数ウエイトの保型形式を決定するための条件を与える. そして, 有理数体上定義された楕円曲線に対応する半整数ウエイトの保型形式の決定条件について言及する.