2009 年度の内容 (コメントは講演者に書いて頂いております.)
第25回 2010 年 1 月 29 日 (金)
講演者1
兵藤 史武 (早稲田大学)
講演1のタイトル
ウェーバーのリゾルベントと冪零群に関する考察
講演者2
風間 治 (早稲田大学)
講演2のタイトル
Dusart の定理と素数計量関数の性質について
講演者3
森澤 貴之 (早稲田大学)
講演3のタイトル
有理数体の円分Z_3拡大におけるウェーバーの問題
第24回 2010 年 1 月 22 日 (金)
講演者
Prof. Yifan Yang 楊一帆(Dept. of Applied Math., NCTU)
タイトル
Applications of modular forms in number theory
アブストラクト
(This talk is intended for general audience. No prior knowledge in modular forms or number theory is assumed.) In this talk, we will explore several beauti- ful applications of modular forms in number theory. Topics that will be covered in the talk include sums of squares, congruences of the partition function, arithmetic-geometric mean, irrationality of zeta(3), and modular forms as solutions to linear ODEs.
第23回 2010 年 1 月 15 日 (金)
講演者
岡本 亮彦(早稲田大学)
タイトル
On relative Brauer group and conjugate splittings
アブストラクト
Kを標数が3でない体とし、DをK上の次数3の任意の division algebraとする。 Wedderburnはθ∈D-KのK上の最小多項式g(λ) はD上 で共役分解なる特別な分解をし、それを用いてDは cycric algebraであることを示した。今回の講演で は、共役分解を利用して、g(λ)を用いて定義される 種数1の曲線の関数体でspritするような有理数体上 のBrauer群の元を計算できることを話す。
第22回 2009 年 12 月 18 日 (金)
講演者
酒井 祐貴子(早稲田大学)
タイトル
実乗法をもつ種数2の代数曲線の Poncelet の定理による構成
アブストラクト
学位申請論文の概説を行う. Humbert はテ-タ関数を 用いて種数 2 の代数曲線でそのヤコビ多様体が 2 次 の実乗法をもつものとPoncelet の閉形定理の間の興味 深い関係を導いた. その後, Poncelet の定理と楕円 曲線の等分点との関係が明らかにされ, Mestre はこれ を利用して実乗法をもつ代数曲線を構成している. 本講演では, まずPoncelet の定理を用いて種数 2 の 曲線 X上の 2 次の代数対応を具体的に構成し, これに よってヤコビ多様体 Jac(X) 上に誘導される自己準同 型が 2 次の実乗法を定めることを示す. また, Jac(X) の自己準同型環が判別式 D=5, 8 の 2 次整数環となる とき, このような曲線の versal な族を与える. さらに,これらの場合に Humbert が与えたモジュラー 方程式の一般化とその対称性についての結果を述べる. 時間があれば, 曲線 X が Q 上定義され, Jac(X) がGL(2)-type となるような例についても触れる予定で ある.
第21回 2009 年 12 月 4 日 (金)
講演者
水澤 靖(名古屋工業大学)
タイトル
基本Z_p拡大上の馴分岐pro-pガロア群について
アブストラクト
尾崎 学 氏(近畿大学)との共同研究です。素数 p を含まない 素数の有限集合 S に対して、代数体 K の最大S外不分岐pro-p 拡大のガロア群を考えます。K が有理数体 Q などの場合には、 近年もその構造の研究に大きな進展がみられますが、ここでは K が Q のZ_p拡大である場合を考察し、総実Z_p拡大のGreen- berg予想と関連付けながら、そのガロア群が (pro-)metacyc- lic となる S が存在することについて、生成元と関係式の記述 とともに報告します。
第20回 2009 年 11 月 27 日 (金)
講演者
津野 祐司(中央大学)
タイトル
Normal basis probrem for torsors under a finite flat group scheme
アブストラクト
古典的なGalois理論において正規底の概念はよく知られているが, 実は一般にHopf代数の世界の言葉を用いることによりGroup sch- emeの枠組みにおいても正規底の概念を考えることができる. さらに,Grothendieckによって構成されたfinite flat commu- tative group schemeのsmoothなgroup schemeへの埋め込みが, 正規底をもつfinite flat commutative group schemeのtors- orの特徴付けを与えている. また,標数p>0の環の上のKummer sequenceのdeformationと Grothendieckによって構成された上述の埋め込みとの関係に着目 することにより,具体的に正規底を持つfinite flat commutat- ive group schemeのtorsorや正規底を持たないfinite flat commutative group schemeのtorsorの例をみることができる.
第19回 2009 年 11 月 20 日 (金)
講演者
市原 由美子(広島大学)
タイトル
primitive form に付随する L 関数の critical line 上の点でのnon-vanishing について
アブストラクト
重さ k レベル N の primitive form に付随する L 関数が s=1/2 において零とならないようなものの個数を考える。 1995 年に Duke によって、重さが 2 レベルが素数の場合に 下からの評価が与えられた。 その結果は Akbary によって重さ k レベルが素数の場合に拡 張された。 重さ 0 < k < 12 でレベルが素数冪の場合についての結果が 得られたのでそれを紹介する。 これは old form の空間の直交基底を決めることで導かれる。 なお、直交基底の作り方はレベルが square-free の場合の Iwaniec, Luo and Sarnak の手法を用いている。
第18回 2009 年 11 月 6 日 (金)
講演者
尾崎 学(近畿大学)
タイトル
代数体に於けるWeil paringの類似について
アブストラクト
Jacobi多様体の等分点上のWeil pairingの類似として、 代数体のイデアル類群上に、相互写像とイデアルの単項化 を用いて自然なparingが定義される。 このparingはWeil pairingと異なり、値は単数群のある コホモロジー群にとり、対称であり、一般に非退化とは限 らない。 セミナーでは、このparingと代数体の最大不分岐meta- abel拡大のガロワ群との関係と、幾つかの問題について 触れる。
第17回 2009 年 10 月 23 日 (金)
講演者
河本 史紀 (学習院大学),冨田 耕史 (名城大学)
タイトル
連分数と実二次体に関する Gauss の類数問題
アブストラクト
{1, ω(d)} を実二次体 Q(√d) の標準的整数基底とする. 我々の観点は, ω(d) の連分数展開の周期を使って実二次 体全体を分類し, 各周期ごとに実二次体の基本単数と類数 を調べることです. 連分数による数値実験の結果を紹介し, 周期の挙動の不思議さと類数 1 の実二次体が関係すること を説明いたします. これは冨田耕史氏 (名城大学) との共 同研究です.
第16回 2009 年 10 月 16 日 (金)
講演者
寺井 伸浩 (足利工業大学)
タイトル
楕円曲線 y^2 = x^3-nx の整数点と Mordell-Weil rank について(日本大学 藤田育嗣氏 との共同研究)
アブストラクト
p を p=a^4+b^4 の形の素数, 楕円曲線 E_p を
E_p: y^2=x^3-px とする。 2007年、Spaearman
はrank(E_p(Q))=2 を示した。
この講演では、この結果に関連し、次の3つを考察する:
① E_p の整数点
② E_p の独立点、生成元
③ n=a^4+b^4 (整数)のとき, rank(E_n(Q))
第15回 2009 年 10 月 9 日 (金)
講演者
相羽 明(茨城大学)
タイトル
標数pの局所体のp^n次拡大体のガロア加群構造
アブストラクト
Kを標数pの有限体上のべき級数体とする。 整数環O_Lがassociated order加群として自由とならない Kのp^n次拡大体LのN.Byott,G.Elder及び講演者 による例を紹介する。
第14回 2009 年 10 月 2 日 (金)
講演者
足立 恒雄(早稲田大学)
タイトル
代数学における選択公理の使い方の分析
アブストラクト
集合論の公理系を簡単に解説する。とりわけ選択公理について考察する。 選択公理の間違った使い方、あるいは使い忘れをいくつかの実例(いずれも有名な本の中から)挙げて紹介する。 1.集合Aが集合Bの部分集合で、BがAの部分集合であることを A=Bの定義だと思っている人いませんか? 2.集合Xの中で、任意の元xに対してx<yを満たすyが存在するとき、数学的帰納法によって、 x_1 < x_2 < x_3 < ... < x_n < ... なる無限列がXの中で作れると思っている人いませんか? こういう方はぜひ講演を聞いて下さい。
第13回 2009 年 8 月 2 日 (金)
講演者
Yifan Yang (NCTS, 台湾国立交通大学)
タイトル
Congruences of the partition function
アブストラクト
Let p(n) denote the number of ways to write a positive integer n as sums of positive integers. The famous congruence of Ramanujan states that the p(5n+4) is divisible by 5 for all non-negative integers n, and there are similar congruences for the primes 7 and 11. In a recent paper of K. Ono, it was shown that for each prime m>=13, there is a positive proportion of primes \ell such that congruences p(m\ell^3 n+B) = 0 mod m hold for all n not divi- sible by \ell, where B is a certain integer depending on m and \ell. In this talk, we will show that in fact, for all primes m>=13 and all primes \ell different from 2,3,m, there exists an explicitly computable positive integer k and some integer B such that p(m\ell^k n+B)=0 mod m for all n not divisible by \ell.
第12回 2009 年 7 月 17 日 (金)
講演者
森澤 貴之 (早稲田大学)
タイトル
A class number problem of real abelian fields of 3-power conductor
アブストラクト
類数が 1 となる代数体が無限にあるかどうかは、まだわかっていない。 そこで、素数 p に対し、有理数体の円分的 Z_p 拡大に注目し、その全 ての中間体の類数が 1 となるか、という問題を考える。これを『Weber の問題』と呼ぶ。だが、類数が 1 であることを証明することは難しいた め、その類数が素数 el で割れるかどうか、ということを考える。近年、 この問題に対し、堀江氏をはじめ、小松氏・福田氏が精力的に研究を進 めており、さまざまな結果を出している。 私は、 p が 3 の場合に興味 を持ち、研究を進めている。 s を 3^s が el^2 -1 をちょうど割り切る ような整数とし、底が 3 の対数とガウス記号を用いて、 m=2s+1+[log(el-1)/2] とおく。この m に対し、有理数体の円分的 Z_3 拡大の m 番目の中間体 の類数を el が割っていなかった場合、全ての中間体の類数は el では 割れない、ということを証明した。これは、3月の早稲田大学整数論研 究集会で講演したものよりも、かなりよい評価を与えるものであり、今 回はその証明について発表させていただこうと思う。
第11回 2009 年 7 月 10 日 (金)
講演者
酒井 祐貴子 (早稲田大学)
タイトル
種数2の曲線のヤコビ多様体の3等分点とガロア表現について
アブストラクト
種数2の曲線は, そのヤコビ多様体の自己準同型環が判別式 Δ の実2次体の整数環を含むとき,「判別式 Δ の実乗法を持つ」 という. これまでの研究で, Δ=5 (resp. 8) の実乗法を持つ 曲線の一つの構成方法と, 平面上の二次曲線に関する Poncelet の5角形(resp. 4 角形)との間に, 非常に深い関わりがあるこ とが知られている. しかし, Δ > 8の実乗法を持つ種数 2の曲 線に関しては, 今のところ Poncelet の閉形定理による既存の 方法では, 同様な構成は直接にはできていない. 例えば Δ =12 の場合, Poncelet の 12角形を用いると種数6の曲線が構成され, そのヤコビ多様体を分解すると2次元因子としてΔ=12 の実乗法 を持つものが得られる. これを種数2の曲線の言葉で記述するこ とが問題となる. 今回の講演では, この問題の解決の足掛かり として, 以下のことを考察する: (1) 既に構成できている Δ=8 の実乗法を持つ曲線 X について, 同種写像 √2: Jac(X) → Jac(X) の核の構造を調べる. (2) 種数2の一般曲線のヤコビ多様体の3等分点の群の具体的な記 述とその上のガロア表現を調べる. これらは, 橋本喜一朗氏、 鍬田政人氏との共同研究の結果である.
第10回 2009 年 7 月 3 日 (金)
講演者
小松 啓一 (早稲田大学)
タイトル
岡崎の不等式のWeberの類数問題への応用(福田隆氏との共同研究)
第9回 2009 年 6 月 26 日 (金)
講演者
和田 秀男 (上智大学)
タイトル
数体篩い法による素因子分解
アブストラクト
150 桁ほどの自然数も素因子分解できるようになった。 代次体の性質を使うけれど、類数も単数も計算せずに 避けることができる。 Crandall 及び Pomerance 著 Prime Numbers (2005) の紹介である。
第8回 2009 年 6 月 19 日 (金)
講演者
宮崎 隆史 (首都大学)
タイトル
指数型不定方程式におけるJesmanowiczの予想について
アブストラクト
m, nは整数で, m>n>0, (m, n)=1, m≠n (mod 2)として, αをmnの2のベキ指数とします. 1956年にJesmanowiczが, 方程式 (m^2-n^2)^x + (2mn)^y = (m^2+n^2)^z は唯一の自然数解 (x, y, z)=(2,2,2)を持つだろう, と予想しました. 現在までに, この予想が確かめられている結果のほとんどが, 仮定α=1のもとに証明されています. 本講演では, m, nによって決まる新しい自然数パラメータβを用意することで, 解x, y, zの間にあるparity関係を整理された形で表すことが出来るということをお話します. さらに, その得られた関係式と, Darmon, Merelによる一般化されたFermat方程式に関する結果を用いると, α>1 となる場合に, 予想を部分的に確かめることが出来る, ということをお話させていただきたいと思います.
第7回 2009 年 6 月 12 日 (金)
講演者
大渓 幸子 (防衛大)
タイトル
ガロア群の表現と結び目群の表現の変形空間における類似
アブストラクト
代数的整数論と結び目理論はガロア理論の視点から見ると類似性があると考える数論的位相幾何学では、有理数体上素数pと無限素点の外不分岐最大拡大のガロア群と、結び目補空間の基本群を類似と見ます。そこで本講演では、それらの表現の変形空間の間の類似性について得られたことをお話したいと思います。
第6回 2009 年 6 月 5 日 (金)
講演者
青木 宏樹(東京理科大)
タイトル
形式的なフーリエ・ヤコビ展開の収束性について
アブストラクト
種数2のジーゲル保型形式をフーリエ・ヤコビ展開すると、その展開のm次の係数には、指数mのヤコビ形式があらわれる。ならば、逆にヤコビ形式から種数2のジーゲル保型形式を作れないかと考えるのは、ごく自然な問題意識である。実際、指数1のヤコビ形式から、それをフーリエ・ヤコビ展開の1次の係数にもつジーゲル保型形式を構成する方法は、齋藤・黒川リフトとして、広く知られている。本講演では、まず、齋藤・黒川リフトに限らず、形式的なフーリエ・ヤコビ展開の収束性についての一般論を述べ、その応用として、ボーチャーズ型無限積の収束性について論じる。
第5回 2009 年 5 月 22 日 (金)
講演者
岡本 亮彦(早稲田大学)
タイトル
楕円曲線の関数体のRelative Brauer群について
アブストラクト
K を有理数体上定義された楕円曲線 C の関数体とし、K 上splitするような有理数体上の 四元数環について考察します。Jonathan Shick, Ilseop Hanにより、そのような四元数環は C のヤコビアン E の有理点を用いて記述されることが知られています。本講演では、この 結果を紹介し K のRelative Brauer群と楕円曲線 E のSelmer群を関連させて、より多くの K のRelative Brauer群の計算が可能になる事を目指します。
第4回 2009 年 5 月 8 日 (金)
講演者
角皆 宏 (上智大)
タイトル
複比型Noether問題に関連する体拡大の相対的有理性問題
アブストラクト
「Noether問題」(有理関数体の有限群による固定体の有理性を問う)は構成的Galois理論において有効かつ重要な問題である。ここではその一変種である「複比型Noether問題」と「(元々の)置換Noether問題」との関連を考察するため、「複比の体」と「差の比の体」との間の相対的1次元の有理拡大(純超越拡大)について、置換群(対称群の部分群)による夫々の固定体の間の拡大に有理性が降下するか、という問題を考える。この問題について、奇数次の時は常に肯定的(固定体の間の拡大が有理的)であること、偶数次の時は対称群に関する固定体については否定的(非有理円錐曲線)であること、が判った(一部は2004年の数理研の集会で講演した)。また、偶数次の時には一般の置換群についても幾つかの場合について否定的であることが判っており、特に6次の場合には全ての可移置換群に対して否定的である (渡邉雅則氏(上智大学2007年度修士修了)との共同研究)。これらのことを紹介する。手法は初等的なので、Galois理論の演習として味わえると思う。
第3回 2009 年 5 月 1 日 (金)
講演者1
Alessandra Sarti (Universite de Poitier)
タイトル
Special elliptic fibrations on K3 surfaces
アブストラクト
Elliptic fibrations on K3 surfaces are well understood and are very useful in the study of automorphisms of K3 surfaces. In particular by considering fibrations with sections of finite order, one can obtain sympletic automorphisms of the same order, whose action on the Picard lattice is easy to understand. I will explain how this idea can be used in the study of symplectic automorphisms of K3 surfaces. In fact by using a theorem of Nikulin, one can describe the moduli space, in particular describe those K3 surfaces with smallest possible Picard number.
講演者2
Samuel Boissiere (Universite de Nice)
タイトル
Universal formulas in the cohomology of Hilbert schemes of points.
アブストラクト
Let A be a finite-dimensional graded Frobenius algebra over the complex numbers. Its associated Heisenberg algebra, defined by a central extension of $A[t,t^{-1}]$, admits a natural irreducible representation: the Fock space. Surprisingly, there exists a geometric construction of this representation, due to H. Nakajima, involving the Hilbert schemes of points on a smooth surface S (the algebra A is then the cohomology algebra of S). I will use this construction for the study of the characteristic classes of some vector bundles on the Hilbert scheme.
第2回 2009 年 4 月 24 日 (金)
講演者
三浦 崇(慶應大学)
タイトル
CM体のイデアル類群について(栗原将人氏との共同研究)
アブストラクト
k を総実代数体とし F を k 上有限次アーベルな CM 体とします。このとき F のイデアル類群の Fitting イデアル について考察します。本講演ではまず、栗原将人氏による Stickelberger イデアルの定義を紹介します。次に、F のイデアル類群の Fitting イデアルと、栗原氏による Stickelberger イデアルとの関係について得られた結果を紹介します。出来る限り証明についてもお話したいと思います。また今回の結果は、Stickelberger の定理、岩澤主予想、Brumer予想等と関係がありますが、そのことについてもお話したいと思います。
第1回 2009 年 4 月 17 日 (金)
講演者
藤井 俊 (慶應大学)
タイトル
Z_p^2 拡大の不分岐岩澤加群の pseudo-null 部分加群と、 虚二次体の Z_p 拡大の第一層の特徴づけ
アブストラクト
Greenberg により、任意の代数体と素数に対して、最大多重 Z_p 拡大上の 不分岐岩澤加群は pseudo-null であろうと予想されています。 多くの具体例が挙げられており、現在のところ反例は見つかっていません。 本講演では、まず Z_p^2 拡大上の不分岐岩澤加群が非自明な pseudo-null 部分加群を持つための十分条件について話し、この応用として、虚二次体の ある Z_p 拡大の第一層と、岩澤冪級数を用いた Greenberg の予想の十分条件 を紹介します。 次に、本質的には 1 の冪根を係数とする Poitou-Tate の長完全列を用いた Z_p 拡大の第一層の特徴づけについて話し、Greenberg の予想の成立する例を紹介 したいと思います。