2008 年度の内容 (コメントは講演者に書いて頂いております.)
2009 年 1 月 23 日 (金)
講演者 1
Maria Petkova (Univ. Berlin Humboldt)
タイトル
Curves on Ball Quotient Surfaces
アブストラクト
As shown by T. Zink, towers of Shimura curves over finite fields are of importance for the coding theory. An explicit construction for such towers, based on the first two curves, was defined by N. Elkies. The goal of our work is to obtain equations for the first two levels of the tower. For this we consider curves on Picard modular surface, coming from K-linear discs, where K is an imaginary quadratic field. With results from H. Shiga and J. Wolfart we show, that the embedded model of the curve is defined over a number field and compute the corresponding quaternion algebra.
講演者 2
Lara Thomas (Ecole polytechnique Federale de Lausanne)
タイトル
Ramification and Galois module structure of p-extensions of local fields
アブストラクト
Let K be a local field with residue characteristic p, for some prime p. When K has characteristic p, we will first investigate the arithmetic properties of abelian pro-p extensions over K, specifically their ramification. As an application, we will stress the relationships between the Galois module structure and the ramification of some finite p-extensions over K. In particular, we will be interested in normal basis as well as the algebraic structure of certain group algebras. This application will cover both the equal (char(K)=p) and unequal (char(K)=0) characteristic cases.
2009 年 1 月 16 日 (金)
講演者
朝田 衛 (京都工芸繊維大)
タイトル
1 の素数乗根全体で生成される体のアーベル拡大体のガロア群について
アブストラクト
有理数体に 1 の素数乗根をすべて添加した体を k1 とします. 奇素数 p を 1 つ固定し, その k1 での惰性体, 分解体をそれぞれ F, FD とし, 拡大体 F/FD のガロア群を G とします. G は, F 上の種々のアーベル拡大体のガロア群に作用します. 今回は, M を p の外で不分岐な F の最大アーベル pro-p 拡大体とするとき, ガロア群 Gal(M/F) の G-加群としての構造について, 得られている結果をお話します.
講演ノート
2009 年 1 月 9 日 (金)
講演者
長谷川 武博 (都留文科大)
タイトル
ある算術幾何平均に関係する関数体の塔とある超特異多項式の零点
アブストラクト
K を q2 元体とする. 関数体 F/K の種数を g(F) とし次数 1 プレイスの個数を N(F) とする. 無限列 (Fi/K) が塔とは, どの拡大 Fi+1/Fi も分離的かつある Fi に対し g(Fi)>1 となる場合をいう. Drinfeld と Vladut は比 N(Fi)/g(Fi) の極限が q-1 以下であることを示した. 極限が q-1 となる塔を漸近的最良とよぶ. この講演では, ある算術幾何平均に関係する漸近的最良塔を定義し, この塔の次数 1 プレイスの個数 N(Fi) と拡大次数 [Fi:F0] との比の極限が, ある超特異多項式の零点の個数に一致することを述べる.
2008 年 12 月 19 日 (金)
講演者
鍬田 政人 (中央大学)
タイトル
elliptic divisibility sequences と楕円曲線の n 等分点の関係について
アブストラクト
整数列 (an) が divisibility sequence であるとは, m | n ⇒ am|an が成り立つことをいう.
代表的な例として Fibonacci 数列がある.
また, an-1 という形の数列もその一例である.
円分多項式の代わりに楕円曲線の n 等分多項式を考えると elliptic divisibility sequence (EDS) が自然に定義される.
Morgan Ward は 1940 年代, EDS を n 等分多項式から導かれる漸化式
um+num-n=um+1um-1un2-un+1un-1um2
をみたす数列として定義した.
現在では, EDS は暗号理論にも応用されている.
しかし, Ward の意味での EDS と楕円曲線の n 等分点の間には, 未だに完全に解明されていない微妙な関係がある.
今回はこの微妙な関係について, 楕円曲線の基礎理論の解説から始めて, 学生向けになるべく初等的に解説するつもりである.
2008 年 12 月 5 日 (金)
講演者
梅垣 敦紀 (早稲田大学)
タイトル
有限体上の種数 2 の曲線の同型類について
アブストラクト
有限体 GF(q) 上の射影直線において Galois 不変な 6 点集合の PGL(2) の作用による同値類を考察し, 6 の分割毎の同値類の挙動について話す. さらに, GF(q) 上の種数 2 の曲線の同型類との関連についても話す.
2008 年 11 月 28 日 (金)
講演者
森澤 貴之 (早稲田大学)
タイトル
有理数体の円分的 Z_3 拡大の類数問題
アブストラクト
有理数体の円分的 Z_p 拡大の中間体について, その類数が 1 になるかどうかということが問題となっています. 類数が 1 であるかどうかを判別することは難しいため, 素数 l について, その類数が l でわれるかどうかを考えます. l=p の場合においては, 1956年, 岩澤健吉によって, 類数が p でわれないことが証明されました. l と p が異なる場合に関しては, 最近, 堀江氏が精力的に研究をされています. p=2 の場合については, 小松氏, 福田氏により, 有理数体の Z_2 拡大の中間体の類数が l でわれるかどうかの研究が進められております. 今回の講演では, p=3 の場合, 有理数体の Z_3 拡大の中間体の類数が l でわれるかどうかに関する結果について, 話させていただきます.
2008 年 11 月 21 日 (金)
講演者
岡野 恵司 (早稲田大学)
タイトル
最大不分岐 p-拡大の可換性に関する報告
アブストラクト
私はここしばらく, 虚二次体上の p 次拡大体について, その円分的 Z_p-拡大上の最大不分岐拡大が可換拡大となるための条件について研究しておりました. 最近1つの区切りといえるところまで来ましたので, 今までの結果をまとめて学生向けに紹介します.
前半はこれまでの結果に関する報告, 後半はその中から, p が奇素数の場合に, 可換性の決定に p-進 L-関数の特殊値が関与している場合と, 最近得られた結果の2点を取り上げ, より詳しく話す予定です. 先日の北陸での講演内容との重複はありません.
2008 年 11 月 7 日 (金)
講演者
鈴木 正俊 (東京大学)
タイトル
The Riemann Hypothesis for Zetas attached to Sp(4) and G
アブストラクト
最近, L. Weng氏により簡約代数群 G とその極大放物部分群 P の組 (G,P) に対してあるゼータ関数が定義された. 非常に大雑把な言い方をすれば, このゼータ関数は "Eisenstein 級数の定数項の積分"である. この組 (G,P) のゼータ関数は, Weyl群の対称性を反映した, ある標準的な関数等式を持つ事が予想されている. これは特に G = SL(n) (n=2,3,...), Sp(4), G2 (例外群) 等の場合には証明されている. 予想される, 又は証明された関数等式の形から, 自然にリーマン予想の類似が考えられる. そして G = SL(2), SL(3) の場合にはリーマン予想の類似が既に証明されている. 今回は, 組 (G,P) のゼータ関数の由来からはじめて, G がシンプレクティック群 Sp(4), 又は例外群 G2 の場合にもリーマン予想の類似が成り立つという結果を紹介したい.
2008 年 10 月 31 日 (金)
講演者
足立 恒雄 (早稲田大学)
タイトル
高木貞治の数体系の基礎に関する3部作の比較検討
アブストラクト
高木貞治(1875-1960)は若い頃から算術(arithmetic)に関心が深く、生涯に『新撰算術』(1898)、『新式算術講義』(1904)、『数の概念』(1949)の 3 冊を出版した。(『新撰算術』は何と大学院在学中に出版したものである。)これらはすべて実数体の構成を述べているにしても、背景として「数と量」を基本的な問題意識として据えているのが特徴である。それぞれが高木貞治らしい洞察に満ちた(世界に例を見ない)オリジナルな著作となっているが、各著作の思想にはかなりな違いがある。その違いが、どのような性質か、またその違いが生まれた背景について検討する。最後に、私の提案する 1 次元連続体の公理系は、思想的には、高木の『数の概念』に似た動機に基づいていることを指摘し、(以前数学科で話したときは口頭だけだったので)数学的に定式化した形で述べる。
31 日に話す内容は、
- 数概念の起源
- 高木貞治の3部作の比較検討
- 1 次元連続体の特徴付け
2008 年 10 月 24 日 (金)
講演者
若林 功 (成蹊大学)
タイトル
単純形式に対するトゥーエ不等式
アブストラクト
3次, 4次, 6次の単純形式 F(x,y) に対して, トゥーエ不等式 |F(x,y)|≤ k を解く. 解の上限はパデー近似法によって求める. 右辺がある特別な場合には, 解をすべて求める. これには, 連分数を用いるが, F が2つのパラメーターを含んでいるので, 通常の連分数展開では不十分で, 部分商に分数を許す連分数を用いる, なお, パデー近似法の簡単な解説も行う.
2008 年 10 月 17 日 (金)
講演者
宮崎 直 (東京大学)
タイトル
Whittaker functions on GL(3,R) and archimedean zeta integrals
アブストラクト
Whittaker 関数は保型形式の Fourier 係数として現れる関数であり, 保型 L 関数を考える上で重要な対象である. GL(3,R)の主系列表現に関する Whittaker 関数の明示公式はクラス 1 の場合は Bump によって得られており, クラス 1 でない場合については眞鍋, 石井, 織田によって得られている. ここでは GL(3,R) の一般主系列表現に関する Whittaker 関数について類似の結果を紹介する. 講演では, 前半で GL(3,R) 上の保型 L 関数について簡単に概説し, 後半に Whittaker 関数の明示公式とその応用について解説する.
2008 年 10 月 10 日 (金)
講演者
陸名 雄一 (早稲田大学)
タイトル
Mestre-Brumer の D5-多項式について (survey)
アブストラクト
5 次二面体群 D5 と同型なガロア群を持つ任意の体拡大は
X5+(t-3)X4+(s-t+3)X3+(t2-t-2s-1)X2+sX+t
という形の定義多項式を持つことが知られている. この多項式 (s,t をパラメーターと見做す) は (Mestre-)Brumer の D5-多項式と呼ばれ, 生成的多項式 (generic polynomial) の最も有名な例の一つである. この講演では, 大学院生や非専門家を対象に, 上記多項式の構成と諸性質ついて整理・紹介したい. 更に, このような研究の過程では計算機を援用した代数計算が欠かせないものになってきているので, 上記の話題と関連した「計算機利用の実際」についても併せて紹介したい.
2008 年 10 月 3 日 (金)
講演者
津野祐司 (中央大学)
タイトル
Deformations of the Kummer sequence
アブストラクト
p を素数, A を標数 p>0 の環とする. このとき, μ∈ A に対して N=Ker[F-μ I:G_{a,A}→ G_{a,A} と定義すると, N は A の上の有限平坦群 scheme である. Saidi は「On the degeneration of étale Z/pZ and Z/p^2Z-torsors in equal characteristic p>0」の中で N に係数をもつ cohomology を計算して, 完備離散付値環の上に定義された代数曲線の被覆の研究に応用した. 本研究では, N の Cartier dual G を具体的に記述すること, ある条件の下で G に対する Kummer 理論の類似が構成できることを示した. このことは群 scheme の完全列の変形を記述するだけではなく, principal homogenious space の変形を記述する手段を与えている. また有限平坦群 scheme に対する Cartier の双対定理の応用として, Grothendieck は有限平坦群 scheme を連結な smooth group scheme に埋め込む一般的な方法を提示したが, Grothendieck の手法による G の埋め込みと上述の G に対する Kummer 理論の類似との関系がある. 今回はこれらのことを中心に解説したい.
2008 年 7 月 18 日 (金) « 早稲田大学大学院講演会 »
講演者
Jerome W. Hoffman (Louisiana State Univ.)
タイトル
Picard groups of Siegel modular threefolds and the theta correspondence
(Joint work with Hongyu He.)
アブストラクト
Let Γ(N) ⊂ Sp_4(Z) be the principal congruence subgroup of level N.
Since Sp_4(R) acts on the Siegel space H_2 of degree 2, we get a quotient A_2(N)=Γ(N)\H_2.
The space A_2(N) is the moduli space of principally polarized abelian varieties
of deminsion 2 with a level N structure.
A basic problem is to calculate invariants of A_2(N).
For instance there is no known efficient method to calculate the topological Betti numbers dim H^i(A_2(N),Q).
In this talk we concentrate on the part of the cohomology
H^{1,1} ∩ H^2(A_2(N),Q)=Pic(A_2(N)) ⊗ Q.
Results of R. Weissauer state that this Picard group can be generated by certain kinds of differential forms with coefficients that are automorphic forms, namely those forms in the theta lifting from holomorphic forms of weight 5/2 on SL_2(Q) to Sp_4(Q).
Using the theory of special cycles, due to Kudla-Millson and Tong-Wang, we are able to identify this Picard group as being generated by certain classically defined devisors called Humbert surfaces.
A key point is to apply some structure theorems about the oscillator representation, due to Roger Howe.
2008 年 7 月 11 日 (金)
講演者
坂内 真三 (首都大学東京)
タイトル
Hermite の 5 次方程式の標準形と versal S_5 曲面
アブストラクト
ガロア被覆の理論は通常のガロア理論の幾何学的表現と見ることができる。 本講演では、ガロア被覆の中でもある種の普遍性をもつ versal ガロア被覆と方程式論との関係を、5次方程式の場合で論じる。 具体的には、Hermite の 5 次方程式の標準形 x^5+ax^3+bx+c=0 を用いて新たに得られた versal S_5 曲面の構成法を述べて、そこから派生して得られる様々な versal G-曲面を紹介し、既知の versal 曲面との関係を調べる。
2008 年 7 月 4 日 (金)
講演者
長谷川 泰子 (東京大学)
タイトル
Principal series Whittaker functions on the real symplectic group of rank 2
アブストラクト
2 次シンプレクティック群の Siegel 極大放物型部分群から誘導された一般型主系列表現に対する Whittaker 関数の級数表示と積分表示を与えることを目的とし, 極小放物型部分群から誘導された一般型主系列表現に対する Whittaker 関数の明示公式を与える. この公式は石井 (J. Functional Analysis 225 (2005)) の公式の拡張である.
2008 年 6 月 28 日 (金)
講演者
小松 啓一 (早稲田大学)
タイトル
Weber の問題について II --- 導手 2 冪の実アーベル体の類数について
(福田隆氏との共同研究)
2008 年 6 月 20 日 (金)
講演者
中村 健太郎 (東京大学)
タイトル
Classification of trianguline representations of p-adic fields
アブストラクト
GL_2(Q_p)のp進ラングランズ対応は、近年のColmez氏の研究によりほぼ解決されようとしており、整数論の重要な未解決問題への応用が活発になされるようになってきています。trianguline表現とは、Colmez氏の研究において重要な役割を果たしているp進体の二次元p進表現のあるクラスです。今回の講演では、一般のp進体のtrianguline表現の分類に関する結果を非専門家に向けてお話したいと思います。
2008 年 6 月 13 日 (金)
講演者
鈴木 正俊 (立教大学)
タイトル
Mean-periodicity and zeta functions
アブストラクト
Mean-periodicity というのは周期性の概念のある一般化である。 数論でしばしば登場する概周期性 (almost-periodicity) とは共通する部分もあるが、基本的には異なる概念である。 最近、Mellin 変換で定義される複素数値関数の解析接続・関数等式と、mean-periodicity との関連性が新しく見出された。 これには I.Fesenko の高次元アデール上のゼータ積分の理論が背景にあり、数論的スキームのハッセ・ゼータ関数の解析接続を高次元アデール上の調和解析から導こうというプログラムの一環となっている。 この講演ではそのような背景にも若干触れた上、ゼータ関数の解析接続・関数等式と mean-periodicity の関連について詳しく解説したい。
2008 年 6 月 6 日 (金)
講演者
中村 哲男 (東北大学名誉教授)
タイトル
有理数体上の特異アーベル曲面のトーションについて
アブストラクト
虚数乗法をもつ楕円曲線 E の直積 E^2 に(複素数体上)同種なアーベル曲面 A を特異という。A が有理数体上定義されているとき、5 以上の素数を位数にもつ有理点の存在について調べた。
2008 年 5 月 30 日 (金)
講演者
鍬田 政人 (中央大学)
タイトル
楕円曲線の L-関数の Dirichlet 指標による捻りとそれに付随する広義 Kummer 多様体の有理点について
アブストラクト
楕円曲線に付随する L-関数をある一定位数の Dirichlet 指標でいろいろ捻ったとき、L-関数の s=1 における値が 0 になる頻度はどれくらいかという問題を考える。この問題は楕円曲線の直積の有限群による商として得られる広義 Kummer 多様体の有理点がどれくらい存在するかという問題と同等になる。位数 5 の場合、数値実験からは無限個の Dirichlet 指標で特殊値が 0 になることが予想されるが、Katz-Sarnak の random matrix モデルをもとにした予想によれば、その頻度はとても小さいらしい。ここでは、位数 5 の場合に付随する 4 次元広義 Kummer 多様体を具体的に記述し、その有理点がどれくらい存在するかを、ある 5 次方程式の Galois 群が巡回群になる頻度として考察する。
2008 年 5 月 23 日 (金)
講演者
深澤 知 (早稲田大学)
タイトル
ガロア点を無限個もつ平面曲線について
アブストラクト
射影平面 P^2 内の曲線 C を考える. P^2 内の一点 R からの射影が誘導する関数体の拡大 K(C)/K(P^1) が ガロアとなるとき、R を C のガロア点という. この概念は吉原久夫氏により導入された. いくつかの状況下においてガロア点の分布が明らかにされており、 これまで知られた結果において、その個数は有限である. 本講演では、正標数においてガロア点を無限個もつ平面曲線の例を紹介し、 そのような曲線の分類結果を報告する. そのような曲線が現れる背景には正標数代数幾何特有の現象が 関係しているため、正標数射影代数幾何についても解説を試みたい. 本講演の主結果は、長谷川武博氏との共同研究により得られた.
2008 年 5 月 9 日 (金)
講演者
原 隆 (東京大学)
タイトル
総実代数体のある非可換 p-拡大に対する岩澤理論
アブストラクト
2005 年に Coates, Fukaya, Kato, Sujatha, Venjakob によって虚数乗法を持たない楕円曲線に対し非可換岩澤主予想が定式化されました。 その後、加藤和也氏は「非可換主予想を可換な拡大の主予想に帰着する」という Burns 氏の画期的なアイデアに基づいて、総実代数体のハイゼンベルク型と呼ばれる非可換拡大に対し主予想を証明しています。 本講演では、加藤氏の証明手法に基づいた、より複雑なある非可換 p-拡大に対する主予想の証明方法を解説します。 講演では非可換岩澤主予想の定式化及び Burns の手法の解説から始め、特に加藤氏のハイゼンベルク型拡大では現れなかった困難な部分について時間の許す限り詳しくお話ししたいと思います。
2008 年 4 月 25 日 (金)
講演者
渡辺 究 (早稲田大学)
タイトル
Actions of linear algebraic groups of exceptional type on projective varieties and Minimal Model Program
アブストラクト
群多様体の作用をもつ多様体の構造と作用について考える. ここで, X を単純線型代数群 G の作用を持つ n 次元非特異射影代数多様体とする. G の放物的部分群 P を与えると, それに対応して等質多様体 G/P が得られる. この様にして得られた等質多様体の次元のうち最小の自然数を r_G と記す. M. Andreatta 氏は作用が非自明ならば n は r_G 以上であることを示した. 同論文において, 極小モデル理論 (森理論) において中心的役割を担う端射線の収縮射を考察することにより, n = r_G + 1 なる古典型単純線型代数群 G の作用を持つ多様体の分類も得られている. 本講演では, n = r_G + 1 なる例外型単純線型代数群 G の作用を持つ多様体の分類について述べる. また, 時間があれば, この問題のアナロジーとして, アーベル多様体の作用をもつ多様体の分類についても述べる.
2008 年 4 月 18 日 (金)
講演者
児島 道隆 (早稲田大学)
タイトル
Integral Points and the Rank of Thue Elliptic Curves over Number Fields
アブストラクト
K を代数体、f(x,y) を K の整数を係数とする 3 次同次式で、判別式が 0 でないものとし、各 K の整数 b に対し、方程式 f(x,y)=b の K の整数解の個数を N_f(b) とおく。また、同じ方程式で定義された曲線を C_b とおく。N_f(b)≥1 の下で C_b は K 上定義された楕円曲線の構造を持つ。このとき、整数点の個数 N_f(b) と C_b(K) のランクの関係を考えてみたい。具体的には、N_f(b) を C_b(K) のランクに関する式で上から評価する問題を考える。本講演では、このことに関して、これまでに得られた結果について、報告する。